スウェーデンで風邪をひく

大抵の☆付きホテルにはオリジナルのアメニティがあるのですが、 泊まったホテルELITE HOTEL SAVOYにもオリジナルのアメニティがありました。
石けん、ボディクリーム、シャンプー(リンスイン)。
北欧は乾燥が激しいのでボディクリームが置いてあるホテルも多い。
いつも私は1週間くらいの滞在なのですが、今回の旅は初めて3週間という長旅でした。
今回、1週間を過ぎたあたり、フィンランド滞在の終わりくらいに猛烈に肌が荒れはじめました。
私は化粧水や乳液などのスキンケア類は日本から持って行かず、旅先で購入します。
いつも直前までバタバタしているので、ちまちまと小さい容器に詰め替えるのが面倒だし、足りなくなったら…と考えるのも面倒だから。
なにより現地の化粧品店で現地の化粧品を買って使ってみたいし、店員さんとのやりとりも一人旅だと楽しいのです。
私的に安心なのがBIOTHELMビオテルム。比較的安いし種類も豊富で肌に合う。
でも今回はフィンランドで購入したランコムの化粧品を使っていたのですが、ニキビはできるし肌はカサカサで化粧のノリも悪いし、終いには鼻の頭の皮がムケはじめました。
ここまできて「これは乾燥のせいだ!」と気づきました。
ストックホルムで新たにロレアルの化粧水を購入し、ひたすらコットンで顔を叩いたりコットンパックをしてみた。
身体にもクリームを塗りまくる。
ちょっとはマシになったけど、まだ調子が悪い。
このときふと、”ヨーロッパ人は毎日髪を洗わない”という随分昔に読んだ雑誌の記事を思い出した。
さらに「パリパリ伝説」というパリ生活エッセイ漫画の中で”肌が荒れるので、お風呂になるべく入らない”と書いてあったのも思い出してきた。
そうか、化粧品の保湿だけじゃダメなんだ…と思った。
それからはシャワーは毎日浴びるけど、せっけんで身体を洗ったり洗顔したりシャンプーするのを一日おきにしてみた。
そうしたら、みるみる乾燥がやわらいできて、まとまりずらかった髪もしんなりしてまとまりやすくなった。
うわー、本や雑誌で読んだことって、本当だったんだ!と自ら体感したことが嬉しかった。
それよりなにより、なんて楽なんだ!!と感動しました。
もともとお風呂大好きなのですが、暖かいお湯に浸かっていることが好きなので、それについてはサウナで満足できる。
だからストックホルムでは毎日サウナに入ってシャワーで汗を流して終わり、というのが楽で快適だったのです。
やっぱりヨーロッパっていいなぁ…と、住みたい理由がまたひとつ増えました。

今回、初めて旅先で風邪をひいたのですが、日本の常識や治し方が当てはまらないものだなぁと痛感しました。
私は”風邪をひかない”ことが自慢で、万が一引いたとしても一日で治せることがまた自慢でした。
このときも「この方法で治るはず!」と思っても、全然良くならずにぐずぐず長引いて、終いには悪化してしまった。
日本でひく風邪とは、どこか症状が違うのですよ…。
なので身に付けていた自己流の風邪撃退法も、いまいちタイミングがつかめなかった。
私は扁桃腺持ちなので、風邪を引くとすぐ喉が痛くなる→扁桃腺が腫れる→鼓膜が腫れる→高熱が出て寝込む、というパターン。
それが、ストックホルムでは鼻水が出る→身体がとってもだるい→熱が出る、という状態。
北欧の風邪は、日本の風邪とちょっと違うんだな。ひょっとしたら、風邪の菌の種類が違うのかも?と思った。

Malmoに着いたときには日本から持参した葛根湯が無くなってしまったので、初めて薬局で薬を買うことにしました。
このときほど、英語がしゃべれナイト!と思ったことはなかったなぁ。
頭がぼけっとしているから、カタコトの英語すらどーでもよくなる。
Malmoには最古の薬局と言われてガイドブックにも載っている、ライオン薬局(Apoteket Lejonet)があります。
"Apoteket"は薬局のこと。普通は緑のマークが目印ですが、ここは金のライオンが目印です。
前に来たときに入れなくて後悔していたので、いまこそ本来の目的で来店するチャンス!
幸いホテルからも近かったので、午前中に行ってみると薬局の中は年期の入った木の棚が天井近くまであり、たくさんの薬が置かれている。白衣を来た女性が何人もいた。
ガイドブックによると、日本の薬局と同じように病院でお医者さんに出される薬を受け取ることができるらしく、奥のカウンターの後ろには処方用の薬がたくさん置かれていた。
歴史を感じる木の棚や空気でも、とてもきれいに整えられて清潔感があり、ていねいに使われているんだなぁと思った。
イメージだと、ハリー・ポッターの杖のお店を掃除して磨き上げた感じ。ちょっとした感動です。

広い店内の棚に並べられたたーくさんの薬。
ここでハッと気づいた。説明が、全部スウェーデン語だ…
当たり前なんだけど、このときは風邪で頭がぼーっとしているので忘れてた。とにかく英語、英語、と思っていたのです。
パッケージのイラストを見て、うーん、これが風邪薬?などと想像してみる。
売り場のなかにいた白衣のおばさんに「すみません、風邪薬(cold pill)はありますか?」と聞いてみた。
すると「え?風邪薬?何を言っているのかよくわからないわ…”風邪薬”というものはありませんよ」と言われてしまった。
頭痛や喉、鼻水などに作用する日本で言うところの、いわゆる”総合風邪薬”はスウェーデンでは存在しないようでした。
確か、イギリスもやっぱり総合風邪薬というものがなく、症状に合わせて薬を選ぶというのを本で読んだことがあった。
そうか、やっぱり英語で症状を説明しないといけないんだ、めんどくさいなぁ…
すると白衣のおばさんは「んー、英語はできる?どんな症状なのか教えてもらえる?」と言ってくれた。
そこで私は「あぁ、英語はあんまり…スウェーデン語は全然わからないんです。えっと、風邪をひいてるんです。頭が痛くて、寒くて、うーんと…身体がとても重いんです。それと、とっても鼻水が、うぅっ」鼻水がどんどん流れてきてハンカチで拭いながらカタコトで説明してみた。
白衣のおばさんは真剣に聞いてくれて「うーん、それだと、頭痛薬と鼻の薬を使わないといけないですね。」と言って「これ(写真左)が頭痛の薬。で、これ(写真右)が鼻水を止める点鼻薬です。」と、軽く説明を混ぜながら教えてくれた。
私は頭痛よりも、身体のだるさが辛かったので「これはだるさもなくなりますか?」と聞いてみると、「あぁ、これは頭痛だけなの。少しはだるさもなくなるかもしれないけど、あくまでも頭痛薬なんです。」というようなことを言う。
いちかばちか飲んでみるか、と決めると白衣のおばさんは英語のカタコトな私を心配して、薬の使い方を細かく説明してくれた。
「頭痛薬は4時間おきに2錠飲みます。4時間おきに、2錠。鼻の薬は一日に2回、こうやって鼻に噴射して。1日に2回だけですよ、いい?」と何度も教えてくれた。


教えてもらった通りに薬を飲んでいたら、少しずつだけど回復してきたので安心しました。
それでも5日間の見に次回滞在中ずっと不調だったのが今でも心残り。
やっぱり、旅先でかかった病気は現地の薬で治すのが正しくて回復への早道なんだなと痛感。
これからは風邪でも病院へ行こうと思いました。
旅は元気でないと楽しさ半減です。