今年のマルメの街について

「地球の歩き方」を見ても、マルメは3ページほどしか紹介されていないくらい小さくて観光名所の少ない街。
1度目は2005年の12月、ほぼ1年前にも1週間滞在しましたが、日本人どころかアジア人なんて見かけなかった。
北欧の入り口・デンマークの空港から電車で20分くらいでこんな素敵な街に着くのに、なんでみんな来ないのか不思議。
私はこのこじんまりした古い街が大好きなのです。

スウェーデンの南に位置する街マルメですが、ここはやっぱり北欧。寒いのです。
それでもこの年は暖冬だったようですが、風が強いし早く陽が沈んでしまうので寒い。
写真はショッピングモールの2階にある渡り通路から撮った街。
この日は一日曇り空で気温は6℃くらい。見るからに寒そう~!
すだれのような電球がとってもキレイなのです。
ちなみにこの通りは見ただけですごく広いのがわかると思うんですが、車はほとんど通りません。
ひょっとしたら搬送用の車しか入っちゃいけないのかも。
車が走っていないせいか、ものすごくのんびりと散策できます。
マルメを訪れるのは2度目なので、前回行かなかった場所にも行ってみることにしました。

今回初めてマルメ美術館へ行きました。マルメで唯一の観光名所です。
もともとマルメヒュースというお城だった建物を、現在は美術館として使われています。
なんというか、街と同じく地味~なお城でしょ?
冬だからなおさらそう見えるのかもしれないけど、遠目から見てもあんまり魅力を感じなかったので今までなかなか行こうという気が起きなかった。
実際訪れてみたけど、展示物はまぁそれなりに良かったです。
特に古代の出土品とか、中世の装飾品とか歴史を感じました。
すぐ見終わっちゃったけど…。
中に生き物博物館もあり、世界各地の動物の剥製がかなりリアルに展示されていてちょっと怖かった。
そのせいか子供達のテンションが高くてすごく賑やかだった。
このときは”CAFE”というエキシビジョンをやっていて、これはおもしろかった。
コーヒーにまつわるもの、当然コーヒー豆やカップ、生活の中のコーヒー事情の歴史とか新旧おりまぜて展示されていて見応えありました。
時代ごとに部屋の一部を再現して展示していたのですが、カップなどの雑貨やインテリアがすごくかわいかった。
ちなみに一階には本物のカフェもあり、ほっと一息できます。
一階入り口には土産物屋もあります。
この美術館、意外にもたくさん人が来ていてびっくり。
まぁ、唯一の観光所だからなぁ。と言うより、マルメにあんなにたくさん観光客がいたことにもびっくりだったんだけど。

マルメ城のまわりにはぐるっとお堀があって、さらにその外側には公園が広がっています。
私がマルメ城に向かって公園内を歩いているときも、パパとちびっこが散歩していたり、犬を連れて散歩している人もいました。
庭も木々が多く、夏に散歩したら気持ち良さそう。
お堀の水際、本当に水に触れるくらい近くまで行くことができて、ベンチもあります。
日本だと「危ない」からと言ってこんな憩いの場所は作ってくれないだろうな。
利用する人たちの責任に委ね、利用する人たちは節度を守っている。
こういうところが年齢ではなく、根本が大人な人が多いのだなぁと思います。
ベンチに座ると水の流れがゆっくりとキレイで、「春の小川はさらさらいくよ♪」と歌いたくなるほどぼけっとしてしまう。
夏の暖かい間にはこのお堀をボートで遊覧できるらしいので、今度ぜひ乗ってみたい。
ちなみに一番上の写真もマルメ城の近くにあったものです。
まだ枝ばかりの植物の中で、鮮やかなピンクの実が目を引いた。
見たことがない実だけど、なんの実なんでしょう。

ところで、ある日街を歩いていたら、広場でアジア人のおばさんがふたりうろうろしているのに気づきました。
ぱっと見で日本人じゃないなーと思ったのですが、そのおばさん達は私を見つけると私のもとへバタバタとかけ寄ってきました。
そして、たぶん中国語だと思うんだけど、せっぱつまった様子で私にしきりに何かを尋ねる。
迷ったのか、とても焦っている様子なのでかわいそうだったけど「I'm sorry,I don't understand.I'm Japanese…」と言うとものすごく残念そうにまたふたりでウロウロしていた。
…ていうか、ヨーロッパに来るなら少しは英語しゃべろうという気はないのか。
勝手に同胞と間違って話しかけて一方的にがっかりして詫びもせず…中国人(たぶん)は良くも悪くもこういう”どこに居ても中国人”というところが世界中で生き抜ける強さなんだろうなぁとなんとなく思った。
今回のマルメでも、アジア人に出会ったのはこのおばさんだけでした。

マルメの街は小さいので移動はバスがとても便利です。
夏だったら散歩しながら移動も楽しいのですが、冬は長時間歩くのはちょっときつい。
ストックホルムと同じく、マルメのバスも前から乗って運転手さんに行きたい場所を言ってお金を払います。
スウェーデン語でバス停の名前を言うのは難しいので、私はたいてい地図を指差しながら伝えます。
お金を払うとレシートのような切符をくれるので、それを見せれば1時間内は乗り降り自由です。
バスの車体の真ん中にある入り口から乗ると、広いスペースがあります。そこにベビーカーを置く。
右の写真は見づらいですが、そのスペースの上にあるベビーカーのマーク。
そのスペースを境に、前のエリアは犬連れ禁止。犬と一緒の場合は後ろのエリアにある椅子に座ります。
ストックホルム同様、マルメも犬に権利があるのです。
そういえば、犬は切符代を払わなくていいのかな?
今度犬が乗るのを見かけたら注意してみてみよう。

マルメの街のメインストリートは夜になるととってもキレイ。
古い石畳の街に電飾がきらめいて華やかです。
でも、今回中央駅の近くにものすごく近代的な高層ビルが建っていてびっくりしました。
ガイドブックを読んでみたら、そのビルはターニング・トルソと呼ばれ、マルメで最も高い建物なんだそうです。
古い町並みがマルメの良いところだと思っていたのですが、どうやら最近、デンマークのコペンハーゲンとスウェーデンのマルメを結ぶ橋の辺りの都市開発が行われているのだそうです。
どうりで、工事中の場所が多いと思った…
ひっそりとしたちょっと田舎のマルメが好きな私は、やっぱり嬉しくないなぁ。
それでいいのかマルメ?
街が良い方向に変わってくれればいいんだけど。
観光客のたわごとです。