お買いもの魂に火がついた

他国ブランドがあふれているオスロの街。それでいいの!?オスロのデザイナー達!
と思っていた私は、少し足を伸ばしてオスロ中心地よりちょっと北のエリアへ行ってみました。
土曜日の朝9時頃から、人気のない街をてくてく歩くこと20分。
人気はさらになくなって、ちょっと妖しげな店があったり、そこらじゅうの壁にグラフィティ(落書き)があったり、中心地とはちょっと違う雰囲気。
中心地でも結構視線を感じていたのですが、進んで行くと時折すれ違う人がじろじろ見る。
ここらへんは、観光客(特にアジア人)が来ない地域なのかもなぁ…と思いながら歩く。
商店街のようなお店が道なりに並ぶ通りに出たけど、スーパー以外のお店はたいていが10時や11時から開店なので閑散としている。
閉まっているお店を眺めながらぶらぶら歩いていると、スーパーの脇で車から荷物を下ろしているおじさんたちがた。
そのうちの一人に「Hi.」と声をかけられたので挨拶を返す。
歩きながらも、後ろにおじさんの視線を感じたので「やっぱりこの辺りにはアジア人は来ないんだなぁ」と思った。
他の道をうろうろしていると、スーパーの前で挨拶をしてきたおじさんが車で通りかかり、車をゆっくり走らせながら私に向かって何か話している。
「どこへ行くの?乗りなさい、連れて行ってあげるから」というようなことを言っているようだ…
私は身振りで断ると、さらにおじさんは「いいの?大丈夫?」と心配そうな表情で言う。
おじさんの表情を見ると心底心配してくれている様子だったけど、やっぱり、知らない人の車にいきなり乗れないよねぇ。
親切で言ってくれたのかもしれないけど、私は結構びびってしまった。
どうしてこんな地域をひたすら歩いているのかと言うと、雑誌で見て、どうしても行ってみたかったお店があったから。
そのお店は"one"というお店で、名前の通りいろんなデザイナーの一点もの商品を扱っているという店。
しかも開店しているのは木曜と土曜のみ。この日行かないと、もう二度と来れないのです。
歩いてどれくらい時間がかかるかわからなかったので早めにホテルを出たのですが、予想以上に近かったのでかなり時間を持て余してしまいました。
開店までのあいだにその界隈をぶらぶら歩いたのですが、この辺り、かなり”いい感じの店”が多い。
これはやばいかも…と買いもの心がうずき出した。
10時になったのでその"one"というお店へ行ってみる。
看板が道に出ていたのですぐわかった。
中に入ってみると、少ない商品がアートのように陳列されていた。
あぁ、デザイナーのエキシビジョン(展示)も兼ねてるって書いてあったけどなるほどと思った。
レジにいた女の子が「もしよかったら休憩することもできるので言ってくださいね」と言ってくれた。
どうやら奥のスペースも展示スペースになっていて、そこにテーブルと椅子、キッチンがあり、休むことができる様子。
オスロ中心地では見かけなかったようなかっこいいスニーカーや個性的な洋服が並ぶ。
奥の売り場へ行くとなんと小さめのバイクも売っていた。
Tシャツのセールもやっていたので夢中で漁ってみると、"フタツINDUSTRIES"と書いてあるTシャツがある。
おぉ~これいいなぁ。”フタツ”って、何か意味あるのかな?デザイナーが日本好き?(100kr。約2000円)
これくださーい、とレジへ持って行くと、レジのガラスケースの中にもいろんなグッズがあった。
その中でもひときわ目を引いたのは日本語がプリントされている2種類の鏡。
思わず吹き出して笑ってしまい、レジの女の子が「どうしたんですか?あ、これですか?」と言うので、私は鏡を指差して「これ面白い!」と言うとガラスの中から出してくれた。
にやにやしていると、店員さんが「これなんて書いてあるかわかるんですか?」と聞くので、「えぇ、これ日本語ですよ」と答えると「えー!なんて書いてあるんですか?」と嬉しそうに言う。
「んーと、Everyday、Fight(努力の英語訳がわからなかったので…でもこれのほうが意味が近くない?)、Mirror、Japan Beautifulface Association。」と日本語を指差しながら言ってみた。
へぇ~と感心しているので私が「こんな協会、知らない~。これジョークですよ。すごい面白い。かわいい。」と笑うと、店員ちゃんは「じゃこっちはなんて書いてあるんですか?」と興味しんしん。
もうひとつは、お蝶婦人ばりの女の子がもだえているヘタウマな少女漫画の絵が書いてあり、ふきだしに「見ないで!」と書いてあった。
「んー、"Don't look!"」とフリ付きで言うと、店員ちゃんはあはは!と笑って「なるほど~」と楽しそうに感心していた。
「これはどうやって入手したんですか?日本で?」と聞いてみると、「これはインポートものなんですよ。日本かどうかは私も詳しくはわからないんですけど、スタッフがいろんな国へ買い付けに行って仕入れているので…何かコネクションがいろいろあるみたい。」ということでした。
あんまり愉快で、これも出会いかもなぁ、と思い購入。(160kr。約3200円)
さすがインポート。Tシャツより高い。
それにしても、日本語が正しく使われているところを見ると日本の製品っぽいけど、これは日本のどこで売ってるんだろ?
会計のときにTシャツについて「これもすごくいいですね。」と言うと、「そうですね~。それにとってもリーズナブルですよね!」と店員ちゃんが明るく言う。
この店は品数は少ないけどセンスがいいし、レディースとメンズの割合が同じくらい。
値段も安いものから高い物まで幅広いけど、ギャラリーも兼ねているので美術館感覚で訪れるのもいいと思います。
お店を出るとき、かわいい店員ちゃんが「Have a nice day!」と見送ってくれました。
この辺りの地区で一番おすすめなのはMarkvetenという通り。
上記の"one"の一本となりの通りです。
ポップな雑貨の店、子供服、古着屋、アンティークショップなどおもしろい店がずらずらと続き、ちょっと横道を入ると"one"のようなデザイナーの店があったりします。
そういえば、スウェーデンのブランド"Filippa K"もこの通りに路面店がありました。
そんな通りに、"Zilk"というお店があります。
外にコートが何着か出ていたのですが、ショート丈のダッフルコートがかわいくって立ち止まり、中へ入ってみました。
食器やインテリアものも置いてあるのですが、仕立ての良い洋服やバッグもたくさん置いてある。
棚にたくさん布を置いてあるところを見ると、オーダーメイドも受けているのかもしれない。
見るからにちょっと高そうなのでお店を出ようとしたところ、棚に置いてあるバッグに目がとまりました。
どうしてかとても気になったので手に取って鏡の前へ立ってみるうち、むくむくと「欲しい!」という気持ちが膨らんで、買わなきゃ後悔する!と購入。
作りがとてもていねいだったので、支払いのとき「これは手作りなんですか?」と聞いてみると「えぇ!刺繍も人の手でひと針ひと針縫ってるんですよ」と言うのでさらにこのカバンが愛おしくなりました。(350kr。約7000円)
これはキッズショップ"SPRELL"で購入したプラスチックのスプーン。
たくさんのカラフルなスプーンがあって、悩んだ結果この色を選びました。
長いスプーンはマドラーにもなるので便利かなと思って。(5個で60kr。約1200円)
この日は土曜日だったのでパパママ赤ちゃんというファミリーのお客さんが多く、賑わってました。
Markveten通りの手前にある橋の脇に"DOG A"というノルウェーデザイン建築センターがあります。
この中には建築や工芸に関するギャラリーがあり、ショップも併設されています。
このショップがなかなか良くて、なぜかスウェーデンの”10(ティオグルッペン)”の商品やムーミングッズもありました。
左はボタンのピアス。
自分でもなぜかわかりませんが、ひとつ250kr(約5000円)のものをふたつも買ってしまいました。
何が私の心をうったのか、未だに謎。色かな…。
右はフエルトで作られたコースターのセット。
このとき店番していた男の子がかわいいんだけどちょっとどんくさい感じの子で、レジにやたら時間かかった。
途中で「何かが見つからなくって」とか言い訳してたんだけど、何が見つからないのかよく聞き取れなかった。
あんまり時間がかかるので「大丈夫でしょうか?」と声をかけてみると「あ、だいじょうぶ!うん、もう終わるから!」などと言ってなかなか終わらず。
かれこれ5分以上経ったかな…という頃、「さぁお待たせしました!」と嬉しそうに知らせてくれました。
なんか子犬みたいでかわいかったです。
Markveten通りを中心としたエリアは買い物好きにはマスト。
外すと損します。
このへんは本当に観光客、特にアジア人は来ないらしく、クレジットカードで支払って漢字でサインしたときも「おぉ~」と感動されます。
個性的な店も多いので、店によってはとんがった感じのスタッフがいて不愉快になったりしましたが。
朝は閑散としてちょっと近寄りがたい雰囲気があるものの、人通りが増えて来ると地元の人達が賑やかに行き交っていて、どこかのんびりとしたいい地区です。
その街に暮らす様子を見るという意味でも、この地区へ行くのはおすすめです。