帰り道

10月23日。とうとう日本へ帰る日が来てしまいました。
ホテルを9時過ぎにチェックアウトし、ずっしりと重くなったスーツケースをのろのろと運びながらオスロ中央駅へ向かいました。
オスロ中央駅でエアポートエクスプレスの切符を買おうと探したけれど、普通の電車のチケット売り場しか見つからない。
そのチケット売り場はカウンターで、長蛇の列。
ちょっと聞いてみるにはあまりにも時間がかかるし、おまけにインフォメーションカウンターらしきものも見当たらない。
10分くらいうろうろ行ったり来たりしているあいだにも、周りの視線を痛いほど感じる。なんでみんなそんなにじろじろ見るんだ~。
困り果てているところへ、制服を着たインフォメーション担当らしきおじさま達がうろうろしているのを発見。
「エクスキューズミー、エアポートエクスプレスの切符はどこで買うんですか?」と聞いてみると、地下で購入するということだった。
安心してエレベーターで地下へ降りると一階とは全然違う雰囲気。
なんというか、「これから旅へ出ます」というようなちょっと贅沢な空気が漂っている。
地下には全ての電車のホームがあり、地下と言ってもホームは屋外で、ホームに面した壁はガラス張り。
なので一階のメインフロアよりも明るくて地下という感じがしません。
ホームへ向かう入り口のそばに、エアポートトレイン専用の時刻掲示板があります。(写真左)
かなり大きくて、思わずかっこいい~と口を開けて見上げてしまう。
その掲示板の下に、エアポートトレイン専用のチケット販売機がずらっと並んでいました。(写真右)
この販売機はノルウェー語と英語の表記が選べるので予想外にすっごく簡単。
しかも支払いは現金とクレジットカードが選べて、カードでの支払いだとカードを入れて暗証番号をピッピッと入力すれば終わり。びっくりするほど簡単です。
チケットは2枚続けて出てくるのであわてて取り忘れないように。(「2枚出ますよ!」と英語で表示されるから大丈夫だと思うけど)
わからなかったら写真の手前に写っている制服のおねえさんが係の人なので、聞けば大丈夫です。

チケットに記載されている時間とホームを確認してホームで電車を待ちます。
結構風が強くて寒かったのでホームにある待合室でちょっと休憩。
すごくきれいで(もちろん禁煙)ゆったりとした待合室には太陽の光がさんさんと差し込み、とても気持ちがいい。
あぁ、これから日本へ帰っちゃうんだなぁ…としみじみ思いに耽ります。

10:15

静かにエアポートトレインがホームへ入り、乗り込むとゆっくりとした椅子に木目調のインテリア。北欧っぽいです。
北欧の電車は、窓際の下にある通気口から暖かい空気が上へ向かって出るので外気の冷たい空気が車内へ入らず、なおかつ人に風があたらないのでとても居心地がいい。
上には停車する駅の路線図があります。これがまたかわいいのです~。

電車がゆっくり走り出すとみるみる加速し、あっというまに風景が大自然に変わりました。
牧草地や大きな畑が広がり、遠くには山が見えます。
ノルウェーならではの大自然の景色をやっと見ることができたので嬉しくて窓に食いついていました。
すると、遠くにある山の麓のあたりがうっすら白く、はじめは霧かな?と思ったのですが、どうも霧とは違う。
山の麓から中腹辺りまで煙がかかっているように白く、平原の上もその白い煙のようなものがずっと広がっている。
その白い煙の合間に暗い緑が見えて、なんて幻想的な風景なんだろう…と見とれていたとき、これは”朝もや”だ!と気づきました。
写真だとわかりずらいですが、私は初めてこんなキレイな朝もやを見たので感動しました。

20分でオスロ空港へ到着。
ホームへ出ると、ホームを斜めに横切るように3つくらい改札がありました。
唐突すぎる光景に慣れない私は戸惑いましたが、他にもびっくりしてまごついている人達が結構いた。
そこで2枚のチケットを順番に通すと、改札のゲートが開きます。
その順番は、ちゃんと改札についている画面に表示されるのでそのとおりに入れればいいだけ。すごいハイテクだよ~。
ホームの端にある坂道をぐんぐん登ると、いよいよ空港内へ。
行きのスカンジナビア航空特集でも欠きましたが、オスロ空港はガラス張りのものすごくかっこいい空港。
チェックインして中へ入ると、国外線はさらに右のほうにあるゲートでチケットを見せて国外線客専用のエリアへ入ります。
そこからはめくるめく免税店売り場。
小さな空港でもその品物の数はかなりの量で、私はすでにここで壊れ気味。
ここにはスウェーデンやフィンランドなどのお菓子や食べ物が売っていて、心で悲鳴があがりっぱなし。
かなり早く着いたので、カフェでお茶することにしました。
散々迷った末、ピーカンペストリー(くるみのキャラメルがけデニッシュ)25kr、約500円と紅茶23kr、約460円にしました。
紅茶は、自分でレジ脇のカウンターからカップにお湯を注ぎ、好きなティーバッグを選ぶ。
この紅茶はリプトンの"Forest Fruit Tea"という、ラズベリーやいちごなどの赤い実の紅茶だったのですが、んもーすごく美味しかった。すっぱくなくてほんのり甘い。
買ってくれば良かったと今でも後悔しています。
もちろんピーカンペストリーもものすごくおいしくて、あぁもう帰りたくない!とさえ思えた。

カフェに座って顔を上げてみると、すぐ上を人がトコトコ歩いています。
1階は出発専用フロアで2階が到着専用フロアなので、オスロに到着した人達がガラス張りの通路を歩いているのが見えます。
建物の壁はほぼ前面ガラスなので、この日は天気も良く太陽の光がたっぷりと入り、澄んだ空の青が遠くまで広がっていてとても気持ちがいい。
私が到着したのは太陽が沈みかけている夕方だったので暗くて外の景色がよく見えなかったけど、今度来るときは昼間に到着してみたら気持ちいいだろうなぁ。
空港内のなにげない空間もニクいくらいかっこいい。

北欧の空港は木をふんだんに使って、なおかつ色を抑えているので甘すぎず冷たすぎない雰囲気。
こういうのを”洗練されている”というのかもしれないなぁと思います。

そして私が乗るコペンハーゲン行きのゲートには子供用の遊び場がありました。
大きめのテレビもあったけど、これも子供用なのでお姫様が主役のファンタジーが流れていました。
ここだけポップな空間になっていてかわいい。
これなら旅に疲れたお母さんお父さんも安心だし、子供も飽きないよね。

14:45

オスロ空港からびゅーんとコペン空港へ。
日本行きの便は15:45発なので、搭乗時間まで時間がある。
小腹が空いたので何か食べてから乗りたいなぁと思い、大きなレストラン「eyecon」へ。
席に座って店員さんに向かって手を挙げてもなかなか店員さんが来ない…。
そんなに忙しくなさそうなのになぜ?すぐそばの席に座った外人の夫婦も苛ついたように店員さんを呼んでいる。
カフェテリア式なのかなぁと思い、ドリンク類が置かれているスペースに向かって行き、近くにいた店員さんに「オーダーはどこで?」と聞くと「席に座ればオーダーを取りに行く」と言う。
じゃ早く来いよ!イラっとして再び席に座る。
やっと来た店員さんにチキン・シーザーサラダと紅茶を注文。


サラダが来る前に、なんとボトルでミスパークリンクウォーターのサービス。なぁんだ、紅茶はいらなかったな~。
そして目の前に置かれたサラダは、かなり大きなボウルに溢れんばかりのレタスと大きなチキンが入っていた。
食べきれるかなぁ…と不安がよぎったものの、食べたらものすごくおいしかった!
おいしくて夢中で食べていたけど、携帯の時計を見ると乗り継ぎ便まで時間が迫っていたので焦ってさらに夢中で食べる。
やっと食べ終わったらのんびりと紅茶が出てきた。(写真右)
これまだ大きなグラスになみなみとお湯が入れられ、既に茶葉の入ったティーサーバーが浸かっている。
悔しいことに時間がないのでティーサーバーをゆらゆら動かして紅茶を出し、一口飲んでみるととてもおいしい。
紅茶の袋が添えられていたので見てみると、デンマークの有名な紅茶屋さん「A.C.PERCH'S」のグリーン・シトラス・ジンジャー味だった。
香りもとても良くて、とてもとても残念だったけど半分ほど残してお会計をした。
レストランを飛び出して「まだ15分くらいあるな」と急ぎ足で日本行きの搭乗口へ向かう。
C29ゲートへ向かっていると、英語のアナウンスが耳に入った。
「…○○tsukiko…」えっ?私の名前?
すると次に日本語のアナウンス「日本行きの便へご搭乗の○○tsukiko様、搭乗時間を過ぎておりますのでC29番ゲートへお急ぎください」と流れた。
一瞬、体中から血の気が引き、すぐにアドレナリンがどっと出てきた。
冷や汗ともわからない汗が出てきて、コペン空港内を猛ダッシュ。
搭乗口へ着くと、いつもの優しいSASスタッフの女性が「あぁ、○○様ですねっ!?どこにいらしたの?」と、やっぱり優しく、少し怒るような含みをもって言う。
息をきらしながら「す、すみません!!レストランに入ったら、なかなか出てこなくて…」と言い訳をする私。
あらまぁ、大丈夫ですか?さぁ急いで!と一緒に機内へ走り込む。
入り口にはおそらくフライトアテンダントのボスと思われるおじさんが「Ms.○○?(息も絶え絶えでYes,Sorryと言う私を見て)Oh,Take care.Here.Water.」と穏やかに笑ってコップ一杯の水をくれた。
ぐーっと水を飲むと、良かった良かった、大丈夫。あなたの席はわかりますか?この通路を行った28番ですよ、とてきぱきと誘導してくれた。
私ひとりで待たせてしまったのに、なんでそんなに優しいんだぁ~と安心したけれど、やっぱり申し訳なくて仕方なかった。
「なんで?まだ15分くらい余裕があったはずなのに?」席に座って息を整えている間考えていた。
そして、「ひょっとしたら”時差”?」と気づいた。これしか原因がわからない。
私は旅行中も日本にいるときと同様、時計を持たずに携帯の時計を見て過ごす。
行きはオスロに着いたら携帯の時計を合わせたけど、帰りはオスロ時間のままだった。
コペン空港でも携帯の時計を見ていたので全く気がつかなかった。
心配と焦りで大変だっただろうSASのスタッフと乗客のことを考えて、心底申し訳なくて情けなかった。

16:15

無事飛行機が飛び立ち、私も少しずつ落ち着いた頃、スナック&ドリンクのサービスが来た。スナックは行きと同じものでした。
その後最初の食事。
気を取り直して、ここからスカンジナビア航空・帰国編のレポです。


メニューは帰国便もベジタリアンメニューで、きのこのパスタ、サラダ、フルーツ、パン。
きのこのパスタはにんじんやドライトマトがほんのりクリームソースで和えてあっておいしい。
サラダにはナッツ、ビーンズ、レタス、チーズ、そしてスイカ。
スイカって果物じゃないんだ…なんか不思議。
パスタなんだからパンはなくてもいいだろう、と思っても、おいしくってやっぱり食べてしまう~。
デザートはオレンジ、いちご、メロン。
ちらっと隣の席を見てみたら、普通の機内食のデザートはアップルクランブルで、ちょっと重そうでした。

そしてこんな手のひらサイズの小さな三角パックのミルクが添えられていました。
このミルクは配られるコーヒーや紅茶に使うもの。すごくかわいい!
ちなみにベジタリアンメニューなので青い色の低脂肪牛乳。
通常のメニューだと緑色で、普通の牛乳のようでした。

16:15

1度目の食事の後30分くらい経った頃、機内の消灯時間。
私は旅が名残惜しいのとコペン空港での全力疾走で全く眠くないので映画を見た。
行きの便では見られなかった「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」!
日本に着くまでに3回くらい観た。
他にコペン空港で買った雑誌を読んでNintendoDSの「脳トレ」の広告にニコール・キッドマンが出ていてびっくり。
さらに帰りの便はDanceチャンネルが良くて(フランキー・ナックルズ!)ひたすら聴いていた。 ただ、席が翼のそばだったのとトイレが近かったのとで音がうるさかったのが残念。
次はエコノミーエクストラに近い前寄りの席を予約しよう。

日本時間 8:00頃

日本到着まであと2時間ほどに近づくと機内の灯りがつき、2度目の食事。ブレックファーストになるようです。


えんどう豆、ビーンズ、トマトソースで和えたポテト。他にチーズとパン、オレンジジュース。
パンはカゴでサーブされるので、パン以外の食べ物がちんまりとボックスに収まって配られます。
豆類とポテトはひんやりとしたサラダ風で、味付けもほとんどされていません。
でも私は豆好きなのでうれしい♪
さらに2度目にパンが区非れたときに旅行の終わりを惜しんで、クネッケブレッドをもらいました。(写真右)
クネッケブレッドはスウェーデンのパンで、薄くて固い、噛むほどに味わいのあるパンです。
このパンだけぼりぼりかじるとあんまり味がないのですが、バターとジャムを塗るとものすごくおいしいのです。
チーズを乗せてもおいしいのですが、私はバターとジャム。
バリバリ食べると口の中でパンの濃い粉の味とバターとジャムが混ざっておいしい~!

10:40

朝食が終わり、しばらくゆっくりしているとどんどん日本到着が近づきます。
あぁ~とうとう日本へ着いてしまう。
これくらいの時間から着陸までが一番嫌い。
そして日本到着のアナウンスが流れる。
「まもなく成田空港へ着陸いたします。日本時間で10時40分、予定通りの到着となります…」
よかった~予定通りで!
私の遅刻のせいで到着が遅れたらどうしようとなにげに気をもんでいたのです。
今回の教訓。
空港では空港の時計をチェックしよう。