ヨーテボリについての第一印象

ヨーテボリの印象は初日の一日で決まりました。
滞在初日のたった一日で得た印象は、「ヨーテボリの人って、人懐こくてやさしい」でした。
この印象は、一ヶ月後にヨーテボリを去る日まで抱き続け、スウェーデンで一番好きな街になりました。

今まで何度もスウェーデンを旅行してきましたが、ヨーテボリに滞在するのは今回の旅行が初めて。
ヨーテボリに着いたのは夜遅くだったので、翌日はまず観光案内所へ。
地図と観光冊子をもらい、土地の位置関係をつかむため、やるべきミッションをこなしつつまずは街をうろうろ歩きまわって観光します。

予想してたほど寒くないけど、長時間外にいると顔と頭が冷える~。
温度は日本よりずいぶん寒い(平均温度8℃)けど、もっと暖かく感じる。
寒くても木々はちゃんと紅葉してて街は秋の色合いがきれい。

道が広くて公園も多いので全体的にゆったりおっとりした雰囲気。

旅行初日のミッション

ミッションその1:
30日間ヨーテボリ市内のトラムとバスが乗り放題のチケットカードをセブンイレブンで購入。
そしてミッションその2:
The book cornerという本屋さんで来週から始まる学校で使う教科書を購入。

本屋さんに入ってきょろきょろしてたらカウンターのおじいさんが「何かお探しですか?」と声をかけてくれたので「はい、えーっと…」と本のタイトルやISBNが載ってる紙を出そうとしたら「Mål1?」と言われた。
そうです!と驚いていたら、隣にいた女性が「もしかして、Folkuniversitetetで月曜からのコース?それなら私の娘も同じ!今教科書を買ったところなの」と言う。
そうだったんだ、すごい偶然!
こちらの女性はスウェーデン人で、親子ともスペインに住んでいたんだけどヨーテボリに住むことになったからスウェーデン語のできない22歳の娘さんは学校に通う事になったらしい。
若くてかわいい!こんな子がクラスにいるのか~。
そんな会話をしている間、レジのおじいさんはニコニコしてた。
なごむ~。
「それじゃ月曜日に!」とうれしい偶然の出会いにほっこり。

お腹がすいたのでごはんが食べられるところを探す。
人の出入りが激しい建物の前を通りかかったので中に入ってみたら、サルハーレンというフードマーケットだった。
土曜の昼時のためか人が多くて活気がある。ほとんど観光客なのかな。

みんなおいしそうなんだけど、メニューがスウェーデン語だしどこも混んでてなかなか席が空かない。
比較的空いてた店を見つけてサーモングラタンを注文。
カウンターに座ったら、スウェーデン人のおじいさんが「隣は空いてますか?」と隣に座った。
このおじいさんは常連さんらしくとても気のいい人で、向こうからなんだかんだ話しかけてくれたので、ついでにいろいろヨーテボリやスウェーデン語のことを質問したりしておしゃべり。
お店の主人(イタリア系マンマ)に「この人は日本からスウェーデン語を勉強しに来たんだって!これから毎日来てくれるってさ~」なんて言ってた。
「スウェーデン語が話せるようになったらもっとスウェーデンを好きになりますよ。良い滞在になりますように!」
なんてことも言ってくれました。
もちろんサーモンのグラタンもおいしかったし、とっても楽しいランチタイム。

散々歩き、ミッション3の『シャンプー類を購入』したらさすがに疲れたので、ミッション4『トラムでホテルまで帰る』で初日の任務は終了です。
トラムに乗ったら、車内の電光掲示板が壊れているらしく、止まる駅の名前が表示されなかった…。
しかも車内が混んでいで停まる駅の名前が見えない。
そろそろ降りる駅なんじゃないかな!? というタイミングで、隣にいた赤とオレンジの髪の女の子に「すみません、次の駅はこれ(駅名を指差しながら)ですか?」と聞いてみた。
赤とオレンジの髪の女の子とその友達は「どれですか?うーん、これはまだだー。」「着いたら教えますよー!」と言ってくれて、着いたら「ここ、ここ!」「バイバーイ!」と元気に送ってくれました。
高校生くらいかな。元気でかわいい子たちだったな。

これまで9回も旅行をしてるけど、たった一日で、しかも滞在初日にこんなにたくさんの人(店員さん以外で)と話をしたり優しくしてもらったのは初めて。
すごくうれしかったし、ほこほこした気持ちでホテルへ帰りました。
それから一ヶ月間、たくさんの人に助けられながら過ごしました。
改めてそんなヨーテボリをご案内。

ヨーテボリは首都のストックホルムに次ぐスウェーデンの二番目に大きい都市。日本で言うところの大阪みたいなもの。
ストックホルム人に「ヨーテボリにプチ留学する」と言ったところ、「えー」とあからさまに嫌そうな顔。
ヨーテボリ人に「ストックホルムに行った事がある」と言うと、「ヨーテボリとどっちがいい?」と聞かれる。
どっちも自分の街が好きで少なからず対抗心があるみたいで面白い。

電車でヨーテボリへ来たのでまずヨーテボリ中央駅 Göteborg Cに到着しました。
現役の駅としてはスウェーデン最古だそうです(「地球の歩き方」より)。
駅構内は結構広くて、カフェ、コンビニ、薬局、雑貨屋などたくさんのお店があります。
特にコンビニはセブンイレブンとPressbyrånがあり、どちらも年中無休で朝5〜6時から夜中の0時まで営業しているのでとっても便利!
写真に写っている正面側の大通りを渡ると向かいに大型ショッピングモール、ノルドスタン Nordstanとトラムとバスの駅Nordstanもある。
残念だったのは、出口脇のポストがなかった事。
小説・映画『ミレニアム 眠れる女と狂卓の騎士』にこの駅が出てきて、ある男が出口脇のポストに郵便物を投函するシーンがあるんです。
だからそのポストが見たかったのになかった!あれはセットだったのかな?それとも撤去された?残念。

ヨーテボリはスウェーデン語でGöteborgと書きますが、実際の発音はヨテボーリ。
ヨーテボーリでもいけるかも。
日本ではヨーテボリと書いてある事が多いのでここでもヨーテボリ表記にしています。

市庁舎前のグスタフ・アドルフ広場にはグスタフ2世アドルフ王が「町をここに築け」と地面を指差している像があるというので見に行ってみたら、なんと工事中…。
すっぽりと覆われていて何も見えない。
見てみたかったな。
王様は「ここだよ、ここ!」って言ってるところ。
広場はノルドスタンの隣にあります。
さらにブルンスパルケン広場の目の前。
ブルンスパルケン駅 Brunnsparken はほとんどのトラムとバスがこの駅を通るというのもあり、街の中心。
お店もカフェ、レストランもここを中心に広がっている感じ。
ヨーテボリも他のスウェーデン都市同様に全ての交通機関が一つの会社、Västtrafikが運営しています。
一回チケットは24kr、約150円ですが一ヶ月の滞在なので、ヨーテボリ市内のトラム・バスを30日間使えるPeriodkort(Period card)を購入。
505kr、約7,900円。
このカード、観光案内所 Information centerでは買えません。
なんと、セブンイレブンで買います。
もしかしたら他のコンビニ Pressbyrånでも買えるかも。
使い始めに、トラムやバスに乗ったらカードリーダーにかざして開始日を記録。
これをやらないと万が一検札が来たときに無銭乗車になってしまいます!
でもカードリーダーはボタンがいろいろあってよくわからなかったので、乗る時に一番前から乗って運転手さんに「これはどうやって使うんですか?」 と聞いたらその場でピッとやってくれました。
一ヶ月間ほぼ毎日トラムに乗ってましたが検札が来たのを見たことがないけどね。
トラムとバスの駅はガラスで囲われたボックスが目印。 寒い時、雨降りの日は中にぎっちり人が収まってたりします。
中にはモニタがあり、"○ min" あと何分、と次の電車が来るまでの時間が書いてあります。
トラムやバスが遅れることはめったにない。たぶんJRより少ない。
同時に、車いすのマークが付いているとバリアフリー車。
たいていの駅は上り、下りみたいにAとBで行き先が分かれてるので注意。
Västtrafikのサイトで乗り換え案内や時刻表を調べることができて便利。
朝はたまに混むこともあるけど、日本みたいにぎゅうぎゅうで苦しいほど混む事はないので安心。


トラムは古い車体と新しい車体の両方とも走ってます。
だんぜん古いほうがレトロでかわいい(写真)。
「降りまーす」の合図もボタンじゃなくて窓上に張られているひもを引っ張ると「チン」とかわいい音がします。
ただ、古いのはバリアフリー対応じゃないので小さい階段を4段くらい上らないといけない。
しかも少しするとドアが容赦なく閉まろうとするので抑えながら上り下り。
スーツケースみたいな大きな荷物をを持ってたりお年寄りがいる場合は周りの人がドアを支えてくれます。
ちなみに、犬もよく乗ってて一日一回は見かける。
それと、トラムやバスの中で携帯で話すのはこちらでは普通みたいでよく見かけた。
でもさすがに朝の電車でメイクをしている女子はいないだろうと思ってたけど、一度だけ見かけてすごいびっくりした。
やっぱりあれは美しくないから嫌い。
ある日の学校帰り、乗るトラムが既に止まっていたので小走りしながら近づいたところ、閉まっていたドアがパカーと開いた。
運転手さんやさしい!「Tack!(ありがとう)」と乗り込んだら、運転手のお兄さんがぱちっとウインクした。 やるな。ちょっと惚れそうだったよ。
ヨーテボリは車道、自転車道、歩道がはっきり分かれてます。
写真みたいに広い道が歩道と自転車道に分かれてるところもありますが、きっぱりと分かれてるところもある。
学校の前の通りはとても広くて、自動車道の他にトラム道(と言うの?)もあって、全部渡るのに2つ信号がある。
その2つ目の信号のある中地を走っているのが自転車道。
最初は知らなくて信号待ちが面倒だからもうひとつ向こうの信号まで歩いてたら、そこが自転車道でびっくりした。(危険です)
朝の通勤時はじゃんじゃん自転車も走っているので、うっかり自転車道を歩かないように気をつけましょう。
観光地でもハーガ地区 Haga は学校の近くだったので初めの頃に行ってみました。
このあたりは19世紀、1800年代の雰囲気を残しているそうです。
そう言われてみると、古い時代の雰囲気もなくはない…かな。
Haga Nygata という通りがメインストリートで、確かにアンティークショップなどもあるけど全体的に私好みのお店ではなく、 建物も特別かわいいわけでも見応えがあるわけでもないので正直つまんなかった。
しかも、いきなり「Kawaii shop」なんてお店があってがっかりします。
ウインドーにはトトロやキャラクターが並び、ポップでころころした字体の看板が出てて景観台無しですんません、と謝りたくなる。
唯一目だってた建物は写真の建物。何の建物かわかんないけど…。
ただ、カフェはこじんまりしたレトロなお店が多くて雰囲気がいいのでお茶するのはおすすめ。
学校の先生に「Le Petit Cafe」というカフェがおすすめ、と教えてもらって行ってみたら満席。
先生によると14時過ぎくらいからなら座れるらしい。
時間が合わなくて行けなかったので、次回ヨーテボリに滞在したら行ってみたい。
クローンヒューセットはヨーテボリで最古の建物。
かわいらしい平屋にお店が並んでいて、ガラス製品や陶器のお店などがあります。
一番端にあるJama Produkterという子供用品のお店がすごくかわいくて、甥っ子と友達の娘用にいくつか購入。
店員のお姉さんが店内で商品の絵付けをしてたのでじっくり見てました。
今回はあんまり買い物をしないと決めてたので他の店は外から眺めるだけ。
中をのぞくとそれぞれ店内で作業をしていて職人さんのお店という感じで見てるだけでも楽しい。
他にチョコレート屋さんがあるのですが、ここで購入したチョコレートキャラメルがすごくおいしかった!
日本のキャラメルと違って口に入れるとほろほろと崩れて少し香ばしく、甘過ぎない。地味な逸品です。
クローンヒューセット自体は、のっぺりした古い建物なので特に感動もなく…。 中でコンサートが開かれたりするらしいので、建物の中が見れたら楽しいだろうな。
隣には公園もあるので、夏だったらもっとのんびりできるかも。
ヨーテボリはかつてイギリスからの移住者が多く、『リトル・ロンドン』と呼ばれていたそうです。
でも、現在は別の意味で『リトル・ロンドン』と呼ばれていて、その理由は雨が多いから。
私が滞在した秋は雨が多いと聞いていましたが、本当に多かった。
どしゃぶりの日や一日中雨というより、一日で降ったり止んだりを繰り返す感じ。
夏ならともかく、寒い時期に短時間でも小雨に降られると冷たいし風邪をひきそうになるので折りたたみ傘を持ち歩いてました。
写真はノルドスタン内の観光案内所ですが、傘を持っている人がちらほら。
現地の人は傘を持ち歩いている人もいるけど、ほとんどは帽子をかぶったり洋服のフードをかぶる程度。
確かに頭が寒いから帽子は欲しくなる。
でも一番困るのが、靴。靴の中が濡れるとすごく不快!
ブーツを2足持って行ってたのですが、ラグナムーンのニーハイブーツが大活躍。
ムートンなので汗をかくほど暖かく、ゴム底なので滑りにくいうえにウェッジソールなので石畳でも歩きやすい。そして何より雨が降っても中が濡れないのです。
これは持ってきて正解!

現地人から「持っているなかで一番暖かい服を持って来たほうがいいよ!」と言われていたので、新たにヒートテックのカットソーやタイツ、裏起毛タイツを買い足したり カシミアのニットやもこもこカーディガンを持って行きました。
コートは当然ダウンコートで、表地がウールの超あったか仕様。
中にはヒートテックのカットソーとカーディガン、プリーツスカートに裏起毛タイツとブーツ。防寒はばっちりで挑んだ初日…。
予想に反して、すごく暑かった!
なんだ、ヨーテボリ暖かいんじゃん!と初めは思ったけど、頭と顔は寒いので温度は寒いみたい。だけど体は汗だく。
しばらくして気づいたのは、「日本の衣類は暖かい」ということ。
改めて「ヒートテックってすごい」と思いつつ、日本人は「いかに寒い冬を暖かくなおかつステキファッションで過ごせるか」を追求しているなと感心しました。
同じ暖かさの衣類をスウェーデンで探すと、たぶんアウトドア店で買うことになるのではないかと。
私が滞在した時期の気温、8〜4℃くらいなら東京の12月の感じで洋服を持って行けば大丈夫だと思う。日本の衣類は優秀です。
北欧の照明は全体的に暗い。
お店によっては蛍光灯で明るかったりするけど、たいていのカフェやお家の中は暗め。
これは私が北欧を好きな部分でもあるのですが、今回はのんびり観光ではなく勉強が主な目的の滞在。
ホテルの部屋はデスクライトがあったので問題なかったけどホスト宅の部屋はなかったのですごく暗くて、とても勉強しずらかった。
文字を読みづらい、というのもあるけど何しろ眠くなってしまうのです。
あれは困った。
そして次に困ったのは、寒かったこと。
寒くて寒くてしかたがないので机の上にあったろうそくに火をつけてみたら少し暖かくなった…。
ろうそくって、雰囲気を出すためと照明が暗い部屋を明るくするためだと思ってたけど、暖める効果もあったのか!と発見。
かと思えば、ホストの友達を呼んでディナーを食べた後、リビングに移動してワインやスナックを食べながらおしゃべりをしたりテレビを見たりしたのですが、 部屋の電気は消してろうそくの火と間接照明だけ。
目が悪くなりそうだけど、確かにすごくリラックスというかまったりできていい雰囲気になる。
でも友達いわく「女性のしわを隠してキレイに見せる役割もあるらしいよ。」とのこと。
なるほど、そんな現実的な理由もあったのか…奥が深いな。
ヨーテボリはストックホルムほど大きくないのでかわいい店や雰囲気のいいカフェは中心地にぎゅっと集まってます。
美術館などの観光地はちょっとばらけてるけど、買い物や街の雰囲気を味わうなら中央駅からぎざぎざ運河の内側だけでじゅうぶん。
Nordstan駅からHaga近くのJärntorget駅までトラムで10分くらいなので歩こうと思えば歩ける。
疲れたらカフェで休みながら歩くのもいい。
メインストリートには木々が多く、裏通りにはかわいいお店やカフェがある。
運河沿いには公園もあるので、秋の紅葉が素晴らしかった。
夏は緑がキレイだろうな。
首都のストックホルムより落ち着いてるし、人がおっとりしている感じ。おしゃれな人も多い印象。
第三の都市Malmöより美術館や遊園地リセベリなど見所が多い。
ほどよく都会で、ほどよく小さい。
スウェーデンに住むなら、絶対ヨーテボリがいい!