10/21月曜日から11/15金曜日まで約一ヶ月間、Folkuniversitetet フォルクユニバシテテッというスウェーデン語の学校に通います。
この学校は大人の為の学校で、スウェーデン語の他各国言語教室、パソコンやホビー、赤ちゃんの写真撮影教室なんかもあります。
スウェーデン語初心者コース、A1の授業は月〜金の9:00〜12:30。
全部で80時間で5150kr、約8000円。
日本で語学学校に通う事を考えると、破格の安さです。

ホームページで申し込みをして、クレジットカードで支払うだけなのでとっても簡単。
(全て英語表記)
サイトの説明に”現地の本屋さん、The Book CenterでMål1という教科書を各自購入してください”と書いてあるので、とりあえず日本で用意するものはない。
約20年ぶりに学生になるので、「筆箱買わなきゃ!あと消しゴムと、シャーペンと、赤ペンと、ノートと…。したじきっているの?」と完全に小学一年生気分。
電子辞書アプリをスマフォに入れておくと便利。できるだけ単語数が多いものがいい。
ただ、今のところスウェ⇔日の辞書は見つからなかったのでスウェ⇔英の辞書。
そのため、意外に重宝したのが『旅の指さし会話帳・スウェーデン語版』!
辞書ほどではないけど日本語で発音や意味がわかるし、巻末に文法などの説明も付いているのでずいぶん助けられました。
Folkuniversitetet

コースが始まる10日くらい前に改めてコースについてのメールが届き、クラスの人数、部屋番号などが書いてありました。
(クラスの変更などがある場合はメールが来るので、現地にパソコンを持って行ったほうがいい。なければスマフォでもいかも)
当日ドキドキしながら早めに教室に向かうと、既に何人かいる。
9時過ぎくらいに先生が来て、人数が多いので2クラスに分かれる旨告げられました。
残念ながら前日に本屋で会ったスペインの女の子は別のクラスになってしまった。
私のクラスは11人。教室の中にコの字に並べられた机に座り、授業を受けます。

先生は朗らかな笑顔の年配のスウェーデン人女性。
まず最初に「授業は全てスウェーデン語で行われ、英語は使わない」ことが告げられ、みんな苦笑。
この説明自体スウェーデン語なのでさっぱりわかりません。
『...svenska(スウェーデン語)......engelska(英語)...』という単語と、身振り手振りで理解できた感じ。
まいったなー。

まず、今回のだいたいのスケジュール、これからどんな事を勉強していくのかが書かれたプリントが配られました。
そしてノートを一枚切り取り、自分の名前を書いて机の上に名札がわりに立てかけるよう言われました。
私は何を言っているのかわからず、周りの人のそぶりを真似したのですが「みんな言っている事がわかるんだ!?」とびっくり。
隣の香港人の子に「みんなスウェーデン語がわかるの?ビギナーコースだよね?」と聞いたら、 「このクラス、A1だけじゃなくてA2も一緒みたいだよ」とプリントを指差す。
確かに、A1A2と書いてある…。
やばい、ついて行けない。と開始10分で冷や汗。
でももちろんA1の生徒もいるので、最初はほぼ同じくらいのスタートだったかな。
教科書を開き、まずは挨拶と自己紹介の仕方を教わると早速実践。自己紹介です。
名前と、出身国、話せる言語を言います。
男性は一人でバルセロナから仕事で来たお医者さん、他は全員女性でドイツ、メキシコ、イタリア、ギリシャ、アメリカ、ドミニカ共和国、 ポーランド、アジアは香港、中国、そして私が日本。
全部で12人。世界中いろんな国から集まっていてインターナショナル!
とりあえず最初は挨拶からアルファベットの読み方、基本の発音を勉強。
外国らしいなと思ったのは、名前のスペルの訪ね方と自分の名前のスペルを説明できるようにしましょう、というところ。
確かに、外国人の名前はわかりずらいので結構大事。
そこから、数の数え方や暮らしに密着したフレーズを学んで行きます。
勉強したい言語を現地で勉強することのいいところは、現地人にリアルタイムで教えてもらえるところ。
文化や暮らしなど、スウェーデンで生まれ育った人でないとわからない感覚があります。
また、天気や季節などを勉強した後は毎朝先生が「今日の天気は?」など質問をするのですが、 ただの「晴れ」「くもり」でなく「うっすら陽が射す程度のくもり」「完全な曇り」など訂正してくれたり、 ちょうど嵐が近づいているときは嵐について教えてくれたり、実際にスウェーデンの天気を体感しながら学んでいくのでわかりやすい。
そんなわけで、「今は一年のうちどの季節?」の質問に「いまは冬です」と答えたところ、「違います。いまは秋です」ときっぱり訂正されました。
そのやりとりで、3℃でもスウェーデンでは冬と呼ばないんだなーと実感。結構寒いよ?
※ちなみに、温度を言うときははじめに「プラス」か「マイナス」をつけるように何度も注意されました。
 それくらい「マイナス」温度になることが多いんでしょうね〜。
10時半になると、先生が11時までお茶の時間にしますと言う。4階にカフェテリアがあるのでそこで飲み物などを買う事ができるということ。
休憩があるんだ、とちょっとびっくり。3時間半の授業なのに、通しじゃないんだね!

4階のカフェテリアではコーヒーや紅茶、ジュース類、お菓子、軽食、ランチ時にはスープなども買えるみたい。
コーヒーや紅茶は10kr、約150円。
カウンターの女性達はみな外国人っぽいのですが(生まれはスウェかも)、スウェーデン語のみ。英語で言うと、「は?」と言われます。
ここで練習できるので楽しい。でも最初は緊張しました。
カフェテリアは他のクラスの人たちも利用しているため、日によっては混んでいることもある。
自然と同じクラスのメンバーがひとつのテーブルに集まり、初対面なので自己紹介がてら雑談。
それぞれ仕事で来た人、彼や夫がスウェーデン人で来た人、留学生などさまざま。

私とドミニカ人以外の全員が英語が堪能。FIkaの間などのやりとりは全て英語です。
ドミニカは公用語がスペイン語のため、メキシコ人、スペイン人、言語堪能のイタリア人と普通に交流ができるのですが、 私はへたくそな英語しかコミュニケーションツールがないためうまく会話ができません。
最初は「どこから来たの」など簡単な会話で良かったものの、次第に会話について行けなくなってきました。
他の生徒たちを見ていて思ったのは、学校は友達を作ったり情報交換をするための場にもなっているということ。
外国から来て、友達もいない、生活習慣や文化も異なる国で暮らすのは大変だと思います。
外国人同士だからこそ共有できる愚痴や悩みを話したり、助け合える仲間ができる。
なので、他の生徒にしたら、一ヶ月でいなくなってしまう私はあまり重要な人物ではない。それも、英語でつっこんだ話もできない日本人です。
それがわかるので、他の生徒達はどんどん親しくなっていくなか私だけ取り残された感じがしましたが、仕方ないなと思ってました。
もっと英語で話せたら、だいぶ違ったと思う。
授業が終わると、たいてい宿題が出ます。
プリントが配られたり、教科書の質問に答えを記入したり筆記の宿題ですが、時々、リスニングの宿題も出ます。
教科書には付属のCDが付いているので、その日勉強した項目や発音を聞いてくる宿題です。
これはやらなくてもバレませんが、CDの質問を聞いて答えを記入するタイプの宿題もありました。
失敗したな、と思ったのは、私はMacbook Airを持って行っていたので、CD機能がないのです。
CDプレイヤーも持っていないので、聞くことができない。
ホストファミリーに聞いてみたのですが、やっぱりCDプレイヤーを持っていないので、CDを聞いて答えを記入する宿題の時だけラップトップを借りました。
これだけでなく、先生にほぼ毎回「今日勉強した○ページから○ページまで、CDを何度も聞いてください。」と言われます。
聞くことは、話す事にも繋がるので、発音に慣れる事が大事。
スウェーデン語は、発音に加えイントネーションが大事で英語よりも特徴があります。
そのため『スウェーデン語は歌うように話す』と言われるそうです。
他の生徒達はめきめき先生の話す事を理解しはじめ、教科書を読むときも発音が良くなっていくのに私はCDを聞く事ができないせいか ほとんど進歩しなくて焦った。

そこで思い出したのが、とある日本のサイト。
スウェーデン語の勉強サイト『スウェーデン語独習コンテンツ』にはビデオが多く載っています。
他にも文法の解説が詳しく、スウェーデン語学習サイトでは日本一だと思います。
そのサイトで、毎日ビデオを見まくり、音声を聞きまくり、説明を読みまくりました。
英語が話せる生徒が多い場合、英語が話せないと、正直、遅れをとります。
授業自体は「英語ダメ!」と言ってはいるのですが、生徒はつい英語で質問してしまうし、説明が難しい場合などは時々先生も少し英語を使います。
そういう場合、他の生徒はそれでなるほどと納得して次に進むのですが、私はその英語がわからないとわからないまま。
急いでその英語を辞書で調べても、調べている間に授業はどんどん進みます。
納得して顔を上げると既に別のセンテンスに移ってた…。なんてことはよくある。

私が使っている辞書アプリは、スウェーデン語⇔英語の辞書。
そのため、スウェーデン語も辞書をひいた場合も、表示された英語がわからない単語の場合は、さらに英和辞書をひいて調べます。
これが結構手間がかかる。
単純に、他の生徒の倍の時間がかかっていることになります。
調べている間に次の項目に進んでいたりして、結局先生の解説を聞いている余裕がなかった、とか…。
それに、言語学習で避けられない「現在形」「不定詞」などの用語がしょっちゅう出てくるのですが、これがまたやっかい。
いちいちスウェーデン語から英語、英語から日本語に訳すのですが、そもそも日本語には性や不定詞がないので訳してもいまいちわかりにくい。
授業中はとりあえずノートに取って授業に集中して、家に帰ってからじっくり調べてみる。
理解できたかな〜というところで、その日の授業を復習してみます。
そんなこんなで、宿題と復習、さらに次の授業でなりそうなページの単語を調べたりの予習をすると、あっという間に一日が終わってしまいます。
先生たち

今回担当した先生はマルガレッタ先生。
孫もいるという年配の女性ですが、元気いっぱいでやさしくて教え方がじょうず。
間違っていても根気よく丁寧に教えてくれ、つい英語で話そうとすると「スウェーデン語で」と言い直させる。
優しくてしっかりと教えてくれました。
絵もなかなか上手で、ときどきかわいいイラストを書いてくれたりしてわかりやすかった。
親しみやすくて良い先生の典型という感じ。
みんなマルガレッタ先生のことが大好きでした。

途中、間をあけて4日ほどマルガレッタ先生がお休みのことがあり、代理の先生がきました。
シャスティン先生はたぶん40代くらいの女性。
こちらもハキハキした先生でしたが、プリントや教科書の例文をいちいちホワイトボードに書き出すのでノートに書き写している時間が長く、発音の練習にならない感じでした。
それと結構英語を使うので、わかりやすいのですが他の生徒から「英語を使わないで欲しい」と要望があったようです(マルガレッタ先生に)。
その後日の授業は英語をほとんど使わず、スウェーデン語でみっちり授業をしてくれました。
シャスティン先生も優しくてなかなかいい先生だったと思います。

シャスティン先生もお子さんの具合が悪くなり、休んでしまった日。
代理の先生が来たのですが、それを知らない私たちはびっくり。
年配の女性はむっつりしたまま教室に入り、まだ半分くらいしか生徒が来ていないのを見ると「これだけ?他の人はいつも遅刻なの」と言い、 来るのを待たずにシャスティン先生が休むのため代理で来たことを告げ、「私の名前は、イングリッド。イングリッド。スウェーデンでよくある名前。」 と生徒ひとりひとりの目を覗き込みながら自己紹介。
威圧感に縮こまってしまう私たち…。
見た目も態度も、映画『ハリー・ポッター』に出てくるマッドアイ先生みたい…。
「名前は?」と端の生徒から名前と出身国、住んでいる地域を言うように言われました。
その間も、顔を覗き込むように凝視され、時々机に横座りして聞いている。
ヤンキー先生かよ!強烈な個性。
時々、にこーっと笑うので怒っているわけではないらしい。
とにかくすごい威圧感と異様さ。
しばらくして、おかしくてたまらなくなってきました。
隣のギリシャ人も同じだったらしく、目を合わせて笑いをこらえてしまいました。
でも、発音を何度も言わせたり、教科書を閉じて言わせたりするのと、威圧感で真剣になるのである意味ためになる先生だと思います。
でもポーランド人は「自分が小学生に戻った気分だった…。」とちょっと落ち込んでました。
みんな嫌がってたけど、なかなか面白い先生で私は嫌いじゃなかったな。
最後の授業

残りわずか一週間、という頃にマルガレッタ先生が「来週の金曜日、最後の日はこの教室でFIkaをしましょう。 みなさんの国のおかしを少し作ってきて。みんなで食べようと思います。少しですよ。」と言いました。
和菓子なんて作れないし、作ったとしても絶対みんな食べられない。
そう思ったので「買ったものでもいいですか?」と聞いたところ「もちろん、いいですよ!」ということだったので、 ドイツ在住の友達へのお土産に持って来ていた抹茶味のポッキーを持って行く事にした。
ごめん、友達。

当日教室に向かうと、みんなすごい荷物。
みんな本当に作ってきたらしい。
私、かばんにぽいっとポッキーを入れてきただけだよ…と少し申し訳ない気分。
午前中は普通に授業。10:30を少し過ぎた頃、先生が「そろそろお茶の時間にしましょう。カフェテリアに行ったり何か用事をしたい人もいるでしょうから、 10:50に教室に集まってお茶をしましょう。」と言いました。
カフェテリアにコーヒーを買いに行ったら長い列ができていたので、諦めて教室に戻る。
時間になってみんなが戻ってきたので、机を固めて持ち寄ったおやつを並べる。
みんな結構たくさん作ってきたなぁ…。

マルガレッタ先生が「さて、みなさんが持ってきたお菓子についてスウェーデン語で説明してみましょう。まず私から。これはスウェーデンのお菓子で、 Sockerkaka(ソッケルカーカ)と言います。小麦粉と砂糖で作った甘ーいお菓子です。」と言いみんなでSockerkakaをつまんでみる。
とても甘くて素朴で、昔ながらのお菓子という感じ。どこの国もこういうのは同じだなぁ。
「次はどれにしましょうか。これは誰のお菓子ですか?」ドミニカ共和国のお菓子、超甘い。少し食べてギブ。
最初はみんなスウェーデン語でなんとか説明していたものの、ビュッフェ状態だったので「これは何?」「これ誰の?」とそれぞれが言い始めてしまい、 結局英語で説明したり説明ないまま食べてたり。
その後、バルセロナのパン、香港のココナツプリン、イタリアのピスタチオケーキ、 ポーランドのチョコカップケーキ、メキシコのプリン…を食べてもうお腹いっぱい。
残念ながら他の国のお菓子は食べられませんでした。
ポーランド人の作ってきたチョコカップケーキがおいしかったな(写真)。
ちなみに抹茶ポッキーはなかなか好評。って、買ったお菓子だからおいしいの当たり前…。
結局、大量なお菓子が余ってしまい、みんなどうやって持って帰るか困ってました。
これだけの人数のお菓子を全部食べられるわけないのに〜。先生も「少し」って言ってたじゃない。

食べ終わった後、「食べた後は歌を歌いましょう!スウェーデンの冬の歌ですよ」と先生が歌詞のプリントを配る。
CDを聞いてみるととても早くて歌詞が追えない!何度か聴いてなんとなくわかってくると、 聴き取れたところだけアメリカ娘が大きな声で元気よく歌ったりして最後まで元気で彼女らしい。

このコースが終わると、来週から次のコースが始まるため、クラスの何人かは引き続き通います。
先生が「この後はどうするの?次のコースに通うの?」とひとりひとりに尋ねました。
その後、アメリカ娘が「先生にカードを持ってきました!」とカードを渡した。
先生がカードを開くと、スウェーデン語で書いてあるという。
学校なんてめんどくさい〜という雰囲気が漂っていた彼女がカードを書いてくるなんて意外!
先生がカードを読み上げると、感謝の言葉などがぽつぽつと書いてありました。
いつも元気で裏表がないアメリカ人らしい子だな〜と思ってたけど、意外な一面にほろり。
カードの表は気球のイラストがあり、「気球はぐんぐん高く上って行くから、 スウェーデン語もぐんぐん上達して行くのかしら?いいカードですね。ありがとう」と先生が言っていました。

授業が終わると、みんなそれぞれにアドレスの交換をしたり別れを言い合ったり、本当に最後なんだなぁとしみじみ。
もうこの教室にみんなが集まって、授業をうけられないんだ…。
その後、都合の合う人だけランチへ行く事に。
7人ほどで香港人のおすすめだという近くのアジアンレストランへ行った。
ランチビュッフェがなんと80krだという。約1,230円。安い!それなら元が取れそう。
香港人は「スシもあるよ!」と言うけど、ビュッフェにスシがあると聞いて期待に喜ぶ日本人はいないと思う…。
私はみんなの英語での会話の速度についていけないので、聞き役に回る。集中して聞いてても半分くらいしか理解できない〜。

時間が経ち、アメリカ女子とドイツ女子が帰ることに。
アメリカ女子がハグをしながら「いままでありがとう!授業でずっとペアを組んでたからなんか寂しい〜。」と目を潤ませている。
私は英語がうまくないし、いまいちコミュニケーションをはかれなかったので正直うざいと思われてんだろうな、と思っていたので、 これが一番ぐっときた。

私は「帰ったら終わってしまう」と思うとなかなか帰れず、最後までいました。
最後は5人でしたが、ハグしさよならを言い合い、別れました。
たった一ヶ月だから、最後もあっさりしてるだろうなと思っていたのですが、予想以上にさみしい!
私ひとりだけ日本へ帰ってしまうというのもあるかもしれない。
先生はもちろんの事、生徒のみんないい人ばかりでラッキーだったと思う。
たった一ヶ月だったけど、とても充実した日々を送ることができました。

それだけじゃなく、もちろんスウェーデン語もかなり理解できるようになりました。
以前勉強につかっていたスウェーデン語学サイトを見ると、以前よりも解説などがよくわかります。
やっぱり現地に行ってみっちり勉強すると、たった一ヶ月でもかなり理解できるようになります。
行って良かった!