フィンランドの首都、ヘルシンキを訪れるのは今回で二度目。
航空券が安かったので衝動的に「そうだ、ヘルシンキに行こう!」と決めてから改めて
「初めてヘルシンキに行ったのっていつだったっけ?」と振り返ってみたら、
初めてヘルシンキを訪れたのは2006年でした。
なんと、今回はちょうど10年ぶり!
全く気付かずに「ヘルシンキに行きたいなー」と思ったので、これは何かの縁なのかもしれない。
10年ぶりのヘルシンキ。
たった3泊の短い滞在だけど、堪能してきました!
11月2日、私がヘルシンキの空港に到着すると雪が降っていました。
ホテルに到着してコートに付いた雪を払いながら受付のお姉さんに「ヘルシンキはすっかり冬ですね!」と言うと、
「えぇ、そうですね。今日は初雪だったんですよ」とお姉さん。
まさか初雪とともに上陸する事になるとは…。
10年前に滞在したのは12月で、雪が少ーし降ったものの暖冬で予想してたほど寒くなかった。
でも今年は北欧全土でいつもより初雪が早く、スウェーデンのストックホルムでは数十年ぶりに11月にドカ雪が降ったとか。
私の滞在中は、最高気温が0〜マイナス2℃くらい。
北欧に足しげく通っているわりには雪に遭遇した事があまりなくて、日本でも雪があまり降らない千葉に住んでいるので
「雪体験したい!」と常々思っていました。
なので、「いや〜まいったな〜」という態度をしつつも、心の中ではうきうき。
寒かったけどうれしかった。
観光初日に行ったH&Mで、レジの店員さん達が「モイモイ!」と言っていました。
とってもかわいかったので、自分がレジの番のときに「モイモイ!」と言われて思わず笑っちゃいました。
”モイモイ”ってどういう意味ですか?ハローみたいな?
と聞いてみたら、「そうです、ハローと、グッバイにも使います。だから挨拶で言いますね〜」だそう。
シンプルでかわいい。
ちなみに”ありがとう”のフィンランド語は「キートス」です。
ヘルシンキは、駅名や通りの表記はフィンランド語とスウェーデン語の2種類で書かれています。
そのせいで地図も見づらいしトラムもわかりずらかったりする。
でも、私はこの10年の間にスウェーデン語の勉強をしたのでむしろわかりやすくなってました!
ガイドブックなどではフィンランド語で書かれているからちょっとややこしいけど…。
何か買った時の袋にも、フィンランド語とスウェーデン語の両方が書かれています。
例えば、チョコレート屋さん『Fatzer Cafe』でチョコレートを購入したときの紙袋にはフィンランド語の住所:KLUUVIKATU 3と、
スウェーデン語の住所:GLOGATAN 3が書かれています。
ぱっと見でもスウェーデン語の方が読みやすい。
二重表記はかつてスウェーデンの統治下にあったからその名残なのかなーと思ってたけど、街の至る所でスウェーデン語を耳にする。
しかも、お年寄りだけじゃなく若い人もいたりする。
今でも両方の言葉が使われてるの?と不思議に思っていたら、フィンランド語もスウェーデン語もどちらも公用語だそうです。
Kaunisteの店員さんは「スウェーデン語は小学校で習うんだけど、私はもう忘れちゃった」と言っていたので特に使う機会がないんでしょうね〜。
ちなみにもう1人の店員さんは両親がスウェーデン語を話すため自分もスウェーデン語を使うそう。
基本はフィンランド語で、スウェーデン語は個人差があるみたいですね。
もうひとつ気付いたのは、美術館や観光客が訪れる場所ではロシア語も表記されているのを見かけました。
お隣さんだもんね。
Kauppatori(カウッパトリ)は港のマーケット。
平日も、ちょこっとだけお店がありました。
いかにもなお土産物屋さんが1〜2件。
カフェなどの食べ物系が2〜3件くらいだったかな。
週末になるともうすこしお店が増えるのかもしれない。
今回は時間がなかったのと、あまり興味もなかったので様子見だけ。
ところで上にネットが張ってあるのは、カモメ避けですか?
ヘルシンキの街の中央にある、ヘルシンキ大聖堂。
10年前に訪れたときもその美しさに圧倒されましたが、やっぱり相変わらず美しかった。
午前中に行ったら観光客だらけ。
広場の周りにはずらっと観光バスが停まり、あっちこっちで写真を撮りまくっています。
10年前はこんなにたくさんの人はいなかったな〜。
ちなみに12時過ぎとか、お昼時に行ったら比較的少なかったです。
はじめは気付かなかったけど、建物の向かって左側が修繕工事をしてました。
建物と同じ白いカバーだったのでうまく一体化してる。
それにしても、ここまで真っ白くて大きな教会は北欧では珍しい。
丸い屋根とか神殿みたいなファサードも他の北欧国では見かけないのでフィンランドは北欧の中でも独特だな〜と思います。
ヘルシンキを訪れたら、この大聖堂は見ておきましょう!
遠足なのかな。
子供たちがぞろぞろと来て、先生らしき人の話を聞いて笑ったりはしゃいだりしていました。
北欧の子供たちは、遠足で外に出かけるときにはリフレクターの付いた安全ベストを着ています。
スウェーデンでは幼稚園の庭で遊ぶときでさえ着てました。
(幼稚園にもよります)
北欧の冬は日照時間が短く暗い時間が長いので着ていると安全。
それと、子供たちがどこにいるのか、先生が把握しやすいというのもありますね。
それにしても子供たちはモコモコでかわいい。
日本だったら「スキーにでも行くの?」というくらいモコモコ。
以前スウェーデンの友達の家に泊まったとき、子供が保育園に通いはじめて最初の秋、先生に「冬用のスーツ(つなぎ)を着せて来て下さい」
と言われたとのこと。
冬用のつなぎは必須らしいです。
寒くても外で遊ばせたりするからかな?
ヘルシンキ大聖堂の前はSenaatintoriという広場になっています。
そのSenaatintoriからKauppatoriの広場へ抜ける道はいくつかありますが、そのときはぜひKatariinankatuを通るのをおすすめします。
Katariinankatuは、通りの上にたくさんの旗がはためき、晴れているとカラフルな旗が空に映えてかわいいのです。
そしてこの通りにはカフェやかわいいお店も2〜3件あり、隣のお土産物屋さんが連なる賑やかな通りとは違って裏通りといった趣。
ヘルシンキ大聖堂からカウッパトリへ行くとき、逆にカウッパトリからヘルシンキ大聖堂へ行くときにちょっと思い出したらぜひ通ってみてください。
街の中心から少しずれたところにあるウスペンスキー教会。
真っ白なヘルシンキ大聖堂とはまた違った美しさです。
今回は中には入らなかったけど、前を通りかかったらとてもきれいだったので思わずパチリ。
向かう途中、信号待ちをしていたら前を通りかかった車から声をかけられました。
ちょっと渋滞していて、のろのろ走っている車の助手席に座っているアラブ人っぽい男性が、ニコニコしながら私に何か言っている。
でも、何て言っているのか全く聞き取れず、「Sorry? I can't hear you.」と返してみましたが
その後も何度言われてもわからず。
途中で「英語じゃないのか?」と気付いたんだけど、どこの国の言葉だったんだろう…。
滞在していたホテル、Hotel Havenから徒歩3分くらいの場所にあるのがTähtitorninvuoren puisto。
直訳すると”展望台山公園”だけど山と言うほどではないので丘と訳してみました。
ホテルのレストランで朝ごはんを食べながら窓の外を眺めていると、ちらほらジョギングしている人が通りかかりました。
朝なんてなおさら寒そうなのに、みんな走るんだなぁ…。
私も一応ウォーキング用にスニーカーなどを持って来ていたので、観光がてら朝食後に公園まで行ってみることにしました。
走っている人はみんな公園ではなく、公園の外側、港沿いの下の道を走っているみたい。
でも私は本気でなく観光なので、公園へ。
ナイキのスニーカーで行ったのですが、これが意外にもすごく滑る!
走っている人はみんな雪用のスニーカーなのかな?
公園に近づくと柔らかい雪が積もっていたので、固まっているところでなく端の雪が積もっている部分を歩いて進みます。
この公園、山というほどじゃないけど、なかなかの急斜面なのでいい運動になります。
朝8時過ぎなのに、既に職員のひとたちが落ち葉を集めたり掃除をしていました。
そして犬の散歩をしている人も見かけた。
凍った道でなく芝生に積もった雪の上を歩いていると犬の足跡がぽちぽちあってかわいかった。
上まで登りきると、公園らしく銅像やベンチなどがありました。
港を一望できていい景色!
…のはずなのですが、曇っているうえにまだ太陽が上りきっていないので寒々しい海の景色。
晴れてたら絶景だろうなぁ。
このあたりはまだあまり人が来ていないようで、雪が10cmくらい積もっていてもふもふきゅっきゅと歩く感覚がうれしかった〜。
高台からはヘルシンキ大聖堂も見えましたよ。
白い雪と黒い木のシルエットというモノクロの公園ですが、ベンチの周りにはかわいい赤い実がたくさんついている木がありました。
これ、アイスランドにもあったけど何の実なんだろう。
Helsinki Art Museum、通称HAMでおもしろそうな展示があるようなので行ってみました。
HAMはショッピングセンターKamppiの隣の建物の2階。
映画館と同じ建物なのでちょっと迷った。
入口の左側にあるカウンターでチケットを買います。
入場料は10ユーロ。
ロッカーはないので、反対側にあるカウンターでコートや荷物を預けて中に入ります。
白と黒のしましまシャツを来た人が入口に立っていますが、この人は案内係の方。
どこから入るのかな?とキョロキョロしていたら、ささっと寄って来て
「ヤヨイ・クサマの展示ですか?それなら入って右の階段を登り、冊子の地図にある番号順に進んでください」と笑顔でテキパキと教えてくれました。
その後も来る人たちにあれこれ対応していて、まるで”歩くインフォメーションカウンター”だな…と思いました。
お年寄りや子供、車いすの方もいたので、”歩くインフォメーション”はとてもいいアイディア!
こういうのも『おもてなし』かなと思いました。
このとき行われていた展示はYayoi Kusama In Infinity。
そう、草間彌生の展示なのです。
インスタグラムでこの展示の写真をたくさん見つけて、おもしろそうだったので観てみることにしました。
この展示は、草間彌生の軌跡を振り返る内容。
なにせアーティストの一生を振り返るので、その展示のボリュームがすごい!
草間さんの子供時代から今に至るまで、写真や当時のチラシ、記事、そしてもちろん作品によって草間さんの歴史を展示。
若い頃からアメリカで活動してたんですね。
その頃から既に水玉模様を取り入れてました。
若い頃の映像や作品もとても興味深くて、かなり濃い内容でした。
今しか知らない私にはとても新鮮。
行って良かった。
ちなみに数字の書かれたキーホルダーみたいなものは、クロークの控えです。
ひとりずつ、または一組ずつ中に入れるこの部屋。
人が出入りするたびにちらっと見える不思議な室内の光景にわくわく。
入ると、そこにはどこまでも続く水玉模様。
小さな部屋なのに、広い平原の真ん中にいるような不思議な感覚。
シンプルな仕掛けなのに圧倒されます。
こちらは1991年に製作されたミラー・ルーム。
1993年にイタリアのビエンナーレに出展し、世界的に名前を知られるようになったとか。
床から天井まで一面が黄色に黒のドット柄でできた部屋。
この部屋の真ん中に鏡でできた箱があって、覗くとそこにも鏡があります。
ぐるっと歩いていると、自分の姿が見えたり他の人の姿が表れたり、ちょっと不思議な感じ。
鏡の迷路よりもずっとシンプルなのに、ドット柄の模様のおかげで不思議な世界になってました。
草間さんいわく、アート作品の中に消えてしまう自分の感覚を見せたかったそう。
そして素晴らしかったのがこちら!
迷路のように作られた通路の合間に和紙の提灯がたくさん吊るされ、色とりどりに光っています。
部屋に入った瞬間、わぁ〜きれい!と感動しましたが、それだけじゃなかった。
この光の色が、ランダムにふわ〜っと変化していくんです。
それはもう美しく、色の変化する様子が興味深くていつまで見ていても飽きない。
ママに抱かれた赤ちゃんも「おぉ〜お〜」と興奮していて微笑ましかった。
Hymn of life、『人生の讃歌』というこの作品。
これは2016年に製作された、草間さんの一番新しい展示作品だそうです。
膨大な数のアート作品も素晴らしかったけど、やはり展示の小部屋が圧倒的に良かった。
どの部屋も入ると不思議な感覚にびっくりしてわくわくしてしまいます。
どれも鏡をうまく利用して独特の世界を作り出しているので、どうしても写真に撮りたくなる。
今まさに、世界的に”セルフィー”が当たり前なので、ヤヨイ・クサマのアートの中にいる自分(達)を写真に撮りたくなる。
そして、その写真をSNSに載せたくなる。
そのユニークな写真を見た人が展示を観に行きたくなる…という、この時代にちょうどうまくハマった展示だと思います。
驚くのが、この展示は既に10年以上前に作られたというのが、さすがというか。
たまたまこのヘルシンキでの展示の前にコペンハーゲンでの展示を見た友達とこの後に会ったのですが、
彼女の言っていた「草間彌生は展示の天才だよね!」という言葉が全くその通り。
ちなみにコペンハーゲンでは大盛況で、小部屋の展示を見るのに行列ができていたそうです。
機会があったら是非見てみるのをおすすめします!
HAMの斜め向かいにはミュージアムショップがあります。
草間彌生展のTシャツも記念にいいなと思ったけど、Tシャツってあんまり着ないんだよなぁ…と断念。
小さいお店だけど、陶器からアート本、おもちゃ、文具や雑貨など種類が豊富で、
他の北欧国で見かけないようなデザインのものが多くて見応えがあります。
シンプルでかわいいカップや花瓶がいいなと思ったけど、値段を見て諦めた…。
残念。
結局、甥っ子のおみやげに木でできたうさぎのおもちゃを購入。
ちなみに、同じフロアの端っこに休めるスペースがありました。
そこに置いてある椅子やテーブルもフィンランドデザインなのかな。
かわいかったです。
10年ぶりのヘルシンキ。
街並や雰囲気が全く変わっていなかったので、とても懐かしかった。
10年前はまだ英語も全然できなくて、今みたいにインターネットも気軽にできなかったし不安で手探りな旅行だったけど、
見るもの全てが新しくて常にわくわくしながら街を歩いてました。
今はもうそれなりに北欧を旅するのにも慣れて、あの頃と同じ感情や感覚はなくなってしまった。
そんな、今の感覚で歩いて見たヘルシンキは北欧の首都らしく、立派なおしゃれでかわいい観光の街になっていました。
それでも、街の人たちのあたたかさはそのままで、その田舎くささにほっこりするのでした。