小さな首都、レイキャビクを歩く

アイスランドの首都、レイキャビクは本当に小さな街。
北海道より少し大きいというアイスランドの人口は31万人。そしてレイキャビクの人口は約11万人。
調べてみたら、東京の中央区の人口と同じくらい。中央区って、銀座、日本橋のあたりですよ!
メインストリートを歩いていても、ぱらぱらとしか人が歩いていないなという感じです。
私が滞在した10月中旬は、昼の温度が5℃くらい、夜になると1℃くらいかな?
数字で見るとすごく寒そうですが、実際は予想するほどじゃなかった。
他の北欧諸国もそうですが、湿度が低いので日本のように染み入る寒さではないからだと思います。
ただ、風が強いのでむきだしになっている部分、顔と頭が寒い。
街を歩いている人を見ていると、帽子をかぶっている人が多い。なので私はダウンのフードをかぶってました。
家などの建物はほとんどがシンプルな白やアイボリーなどの薄い色。
その中にも赤や青、黄色などのカラフルな家がぽつぽつあります。
そしてどの家もひとつの窓が小さめ。
北国だからでしょうか。
教会が街の一番高い場所にあり、そこからクモの巣状に道がのびています。
なので道の先の景色が遠くまで見える。
場所によっては山が見えて、いちいち毎日が絶景です。
とにかく視野のなかで空が広いのは、道が広いというのもある。
レイキャビクでは車を路上駐車するのが基本なので、道が広く作られているんだと思います。
こちらは教会のすぐそばの住宅街。
雰囲気と家の大きさからして、たぶん高級住宅街。
すっきりとした外観が北欧らしくて素敵だった。

レイキャビクの猫たち

教会からメインストリートへ向かって歩いていると、道の反対側の塀に白黒の猫がちょこんと座っていました。
かわいいなーと立ち止まって、写真を撮ろうとカメラを構えた瞬間、その猫は「にやあー!」と叫び、すとんと塀から降りてまっすぐこちらへ歩いてくるではないですか!
しかも、いそいそとした足取りで。

なになになんで?撮影禁止!?とおたおたしていると、私の足にすり寄ってきた。
あまりの人なつこさにぞくぞくしていると、その猫は時々私を見上げて「にやあー」と鳴いては足にすりすりする。
あまりのかわいらしさに撫でようとしゃがむと、なんと私の膝に前足を乗せてよじ登ろうとしている!
かわいすぎるうー!と思わず抱き締めた途端、「そういう抱き方じゃねんだよ」とばかりに急に冷たい態度に。
あ、すんません。
この猫は、たぶん抱き上げられるんじゃなくて膝に乗るのが好きなんだな、と思ったものの、ここ路上ですし…。
さすがに猫好きでも、外国の路上に座り込んで猫を膝に乗せるのはどうか。
ふっと我に返り、頭を撫でてお別れすることにした。バイバイ、と歩き出すと、その猫もとことこ着いてくる。
あぁ、胸きゅん。誘惑に負けず歩くと、彼の縄張りから外れたのか、立ち止まってしばらくこちらを見つめていた。
数日後、またこの辺りを歩いていたら、他にも数匹の猫発見。
このへんは猫好きが多いエリア?
しかも白黒、白、黒と色のある猫がいないからみんなきょうだい?
誰かの家の窓際には、さらにラブリーな猫が鎮座していました。
ぬいぐるみみたい!
ちなみに、レイキャビクでは犬を飼うのを法律で禁止されているらしい。
でも申請すれば飼えるそうなので、街を散歩しているのをときどき見かけました。
他の北欧よりも散歩率は低いけど、ちゃんとしつけされているのは同じ。
他の欧米国と同じく、レイキャビクの住所は”通りの名前+番号”で表すのですが、家のドアや門には名前ではなく住所となる番号が付いています。
住宅街を歩いていると、直接ドアに書かれているもの、壁にくっついているもの、そして写真のように門についているものなど、それぞれ個性があって楽しかった。
驚いたのは、トタン造りの家が多かったこと。
トタン造りというと、日本ではなにやら昭和の臭いがするのですが、アイスランドでは全然現役。
寒くないのかなぁ…。
どんな防寒対策がされているのか気になります。
ただ、日本と違って窓がかわいい~。
これがメインストリートLaugavegurの入り口。
この通りにIceland Airwavesのメディアセンターやたくさんのカフェ、洋服屋さんなどが連なっています。
Laugavegurの入り口から分かれた道の先には教会が見えます。
こちらの通りにもカフェやお店がたくさんあります。

意外にも、レイキャビクにはグラフィティ(落書き)やプロのアートっぽいペイントがたくさんあります。
当然メインストリートが中心なのですが、最初はプロっぽいアートはお店の外観なのかと思ってました。
でもどうやら、アートとして容認されているようです。
前に読んだ雑誌によると、シガーロスのボーカル、ヨンシーが手がけたものもあるらしいのですが、気づきませんでした。
うーん残念!
街を歩く時は建物の壁も注目。
右の動画は、Laugavegurを歩いていて見つけた不思議なアート。
建物の屋根部分を山に模したアートですが、上部の銀色の部分が風に吹かれてさざ波のように見えます。
あれってどうなってるんだろう???
レイキャビクを初めて歩いたとき、歩きたばこをしている人の多さに驚きました。
ストックホルムでも意外と歩きたばこ率が高くて驚いたのですが、レイキャビクの多さはもっと驚いた。
確かに、街の至る所に灰皿がある。
(ひとつ大きな違いは、ストックホルムはデパートや地下鉄の入り口に大量の吸い殻が落ちているんだけど、レイキャビクは皆無だった)
飲食店やホテル、ライブハウスなどの室内は全面禁煙なので、みんな外にいるときは吸いたくなるんだなぁと思いました。
なので私もつられて道ばたでタバコを吸うことが多かったです。
ところが…。
Iceland Airwavesが終わり、観光客が一気にいなくなると、歩きたばこをしている人もいなくなった。
それまで歩きたばこをしていた人のほとんどは観光客だったんです。
急に肩身が狭くなった感じがしました…。
写真左の植木鉢のようなものは、Nordic houseの入り口にあった灰皿。だと思う。
最初植木鉢に吸い殻を捨てるなんて!と思ったけど、どうも灰皿っぽい。
ゴミ箱も道によくあるんだけど、これも灰皿を兼用しているようでした。
上部の文様の部分でタバコの火を消して、ゴミ箱に捨てている人を見かけて気づいた。
よーく見たら、文様の部分が灰で汚れていたので、その人だけではないみたい。
ぱっと目を引いた赤い服の人は郵便屋さんでした。
赤と黄色の配色も、郵便バッグをふたつ斜めがけにしているところも、抜群にかわいい。
にこやかでやさしそうなおじさんがとことこ歩きながら郵便を配っていました。
レイキャビクの街にぴったり。
のんびりしてて本当にいい。
レイキャビクの街を歩いていると、しょっちゅう山が見えます。
毎日違う見え方をするので、ついつい立ち止まってしまったり、歩きながら見とれたり。
この風景こそが、レイキャビクの風景なんじゃないかと思う。


ふと顔をあげると、向こうに山が見える。


公園でもなく、庭でもない。こういう場所がときどきあります。

山だけじゃなく、空が広いせいか空の表情にもつい目がいってしまう。
特に、朝焼けと夕焼けはとてもきれいだった。
ガイドブックには載らないかもしれないけど、この街を歩いて目に入る風景こそがレイキャビクの見所だと思いました。
教会の見晴し台から見た眺めよりも、街を歩いていてふと目に入る風景のほうが印象に強く残っているんです。
住んで見慣れてしまったら、それもきっと日常の風景になるんでしょう。
外に出れば冷たい風が吹いていても、日常の風景として大きな自然が視界に入る。
それも、身近な自然だけではなく、地球規模の自然。
高層ビルとネオンとごちゃごちゃの騒音が日常の日本から来た観光客の私から見れば、素晴らしい景色です。
アイスランドの大自然に身を置くと人生観が変わると聞いたことがあるけど、 レイキャビクの街にいるだけでもかなり影響を受けました。
人工的なものに囲まれて自然が貴重なせわしない日常の国と、顔を上げれば大自然を目の当たりにするのが日常の国。
両者では、感性が違って当たり前だと思いました。
こんな国に生まれたら、ビョークやシガーロスのような唯一無二の音楽を作り出すのも無理はないなと。
都会の人の感覚では決して生むことのできない音楽と存在です。

変わりやすい天気と虹

晴れと雨がくるくる変わったある日。
虹が何度も空に現れて驚きました。
しかも大きい!近い!
たいていの観光客はおぉ~!と立ち止まって写真を撮ったりはしゃいでいました。
私もあんなに近くで虹を見たのがはじめてだったので虹のはじまりだか終わりだか、とにかくはじっこが見てみたかったのですが、 近寄っているうちに消えてしまうので結局見れず終い。
虹の終わりには妖精のお家があるんですよ~。見てみたいじゃないですか!
教会の中にあるお店のおじさんが言っていた通り「風が強い日は、晴れてても天気が変わりやすい」というのは本当でした。
その”変わりやすい”が日本のそれとは全く違う。
雨が止んで歩いていると、遠くのほうにもやがかかっている。
あの地域だけ霧?と変に思っていると、みるみる近づいて来て実は雨だった!とか、極端なうえくるくる変わる。
もう、これが俗に言う山の天気?と思ったくらい。
でも、結構な雨だったのに結局一度も傘をささずに済んだのは不思議でした。
もともと湿度が低いせいか、雨が小粒のせいか、あんまり濡れてる感じがしないんですよ。
地元の人も、ちっちゃな子供も、ベビーカーでさえ、傘をささずに平然と街を行き交っていました。
街を歩いていると時々見かける公衆トイレ。
有料です。確か5krくらい。
入ってみようと思ったら、壊れてて使えませんでした。残念!
北欧ではデパートやショッピングモール、駅などの公共のトイレはほとんど有料です。
レイキャビクに至ってはデパートやモールがないので、カフェやレストランに入ったら必ずトイレを借りましょう。
いざとなったら、カフェか美術館に飛び込む。かな。

街の真ん中にあるTjörnin湖。
湖の西側は住宅街で、かわいいお家が並んでいます。
対岸の東側には、周りにいろんな施設や街路樹もあって絶好の散歩コース。
いつも鳥がたくさんいて、誰かしら餌をあげてました。
湖のそばに、鳥の足跡がオレンジで付けられてました。かわいい!
道をはさんだ手前には小さい公園があったので、カモか何かが通る道なのかも。


標識(?)いろいろ。
他の北欧国でも時々見かけた、石畳の横断歩道。
割れない限り、消えない。
一列に並んだ三角は一方通行のしるし。
ホテルの近くにあった建物の駐車場に、ぽつんと車椅子用のマークが立ってた。
よーく見たら、なんと石にマークが彫ってある!
かっこいいし、岩だらけのアイスランドらしいなと思った。
ホテルの隣は確か郵便局だったかな?その入り口のポスト。
そのポストの脇から建物沿いに、手すりが付けられていました。
身体が不自由な人またはお年寄りのため?それとも何か使い方があるのかな…。
これはたぶん、アイスランド版の団地だと思う。
この建物のかっこよさはなんなんですか。
滞在したホテルの近く、湾よりの地域にありました。
そしてたぶん、窓からの眺めは最高。