Airbnbでスウェーデンの一般のお宅に泊まってみた
宿泊料金の高いスウェーデン。
あれこれ探したところ、見つけたのがAirbnbというサイト。
さらに探すと5万円台とかの安い部屋もあるけど、ベッドが折りたたみ式だったりwifiがなかったり。 |
ヨーテボリに着いてからの一週間はホテルに滞在し、ホテルからAirbnbのホストの家に移りました。 事前にホストと連絡を取り合ってチェックインの方法を決めます。 ![]() ホスト宅がある地域はヨーテボリの北側に位置するHisingenという大きな島にあります。 最寄り駅はトラムのWieselgrensplatsen駅。 駅から徒歩で約10分かからないくらい。 このあたりはかなり大きな集合住宅地(と言うのかな)で、公園や緑が多く、歩いているとかなり高い確率で犬の散歩に遭遇します。 近くに小学校や幼稚園があったり、とっても平和な雰囲気。 滞在したのが紅葉の時期だったのもあり、景色も良くて毎朝駅までの道中気持ちよかった。 ヨーテボリの中心地、トラムのNordstan駅からたったの8分という近さでこの環境はいい。 もしヨーテボリに暮らすならこのあたりが理想的な場所! |
![]() 入口の門は番号を押して入る。この門が鉄で重かった。 中央には中庭があって、建物が四面にあります。 私の部屋は中庭に面していたので部屋の窓からの眺めがとっても良かった。 建物を並べれば効率良くたくさん建てられるんだろうけど、部屋から見える景色やほっとする空間を意識して住居を作っているところが素晴らしい。 日本のアパートは20年前に数年暮らしただけですが、今はどうなんだろう。 ”暮らす”ことに意識を向けて作られているのだろうか。 |
スウェーデンも屋内では靴を脱ぐ![]() 小さなクローゼットもあり「もしよかったら」とフリースのもこもこガウンも貸してくれました。 滞在中、これがかなり重宝したので助かりました! 嬉しかったのは机が大きかった事。 宿題をしたり復習予習をする際にパソコン、教科書ノートなどを広げるので、大きな机はうれしかった。 少し意外だったのは、玄関の入口で靴を脱ぐ事。 基本的に土足厳禁。日本と同じだ。 でも寒いので私はルームシューズを履いてました。 朝は足音が気になるので分厚い靴下。 |
北国では、室内が暖かいのでTシャツで過ごせる。と聞いたことがあります。 そんな場所もあるかもしれないけど、滞在したホテルもホスト宅も寒かった…。 どちらもセントラルヒーティングでそれぞれ温度調節ができるけど、たぶん最高温度は建物ごとに設定されていてそれ以上には上がらない。 どうやら一定温度に達すると最高温度の設定が上がるらしく、ホスト宅では3℃になった日から部屋が暖かくなった。 ある日、奥さんと夫君がヒーターを買ってきたのでなぜか聞いたら、「今はまだいいけど、気温がマイナスになるとものっすごい寒くなるんだよ!」 らしい。 それは大変。 でも、日本とスウェーデンの違うところは、日本だと部屋は暖かいけど廊下やトイレ、お風呂などは寒い!夜中にトイレ行きたくなると行くのに躊躇する。 スウェーデンだと、セントラルヒーティングは部屋だけじゃなく廊下やトイレにもあるので凍えそうなほど寒い!ということがない。 驚いたことに、ホスト宅のアパートメントは建物自体の階段にもヒーター付いてた。 私は断然、スウェーデンのほうが快適です。 |
![]() 冷蔵庫は自由に使っていいよと言ってくれたので、スーパーで買ったものを入れたり、コーヒーを作る時に牛乳を少しもらったりしました。 スウェーデンのキッチンは、食洗機が標準でついてます。 日本の家で持っていないので「本当にキレイになるの?」と疑問だったのですが、普通にキレイに洗われていたので安心。 食器類を使ったらその都度軽くブラシで汚れを落として食洗機へポイ。 食洗機がいっぱいになったら洗います。 だいたい一日の終わりにスイッチを入れて、寝る前に扉を開けておくと朝にはすっかり乾いている。 わからなくならないように『DIRTY』と書かれたマグネットをつけておくと汚れ物が入っていてまだ洗っていない状態。 裏返すと『CLEAN』と書いてあるので、洗い終わったらそっちに裏返しておきます。 これ、すごく便利ですねー!私も欲しい。 |
![]() 部屋を選ぶ時、バスタブ付きというのも条件のひとつでした。 日本人はお風呂につからないと死んじゃうんです。 さすがに毎日だと迷惑かなと思ったので、週に1、2回お風呂に入らせてもらいました。 やっぱりお風呂に入ると体のこわばりがほぐれるし、疲れが取れるのでとっても大事。 ドライヤーは奥さんに貸してもらいました。 ちなみにスウェーデン人は朝シャワーをあびる人が多いので、夜お風呂に入る時間を気にしなくて良かったのがラクでした。 便利だなー!と思ったのは、バスタブの壁の上部にタオルを干せるラックがついていたこと。 バスルームは常に換気されていて、湿気がこもらないようになっています。 シャワーを浴びるときは上げておき、タオルを使ったあとにラックを下げてタオルを干しておく。 翌日は乾いたタオルを反対の壁にかけておき、シャワーを使う。 雨などで洋服が濡れたときも、ここに下げておけばすぐに乾く。 これは生活の知恵ですね。 ちなみにコットンの形は筒状の長いタイプが主流。 ひもがついているのでそれをフックにひっかけると、下の一部分を切り取ってそこから一枚ずつコットンを取り出せるようになっている。 これ、すっごく便利。どうして日本にはないのか不思議。 |
![]() 各家庭、一週間に一度、4時間だけしか使用できないため、私は滞在中に2度使わせてもらうことになりました。 ランドリールームの脇に予約表があるので、あらかじめ空いているところに予約を入れます。 使い方がわからないので事前に奥さんに教えてもらったのですが、ちょっと心配だったのでちょうど家にいたMikaelについて来てもらう事に。 洗剤はホストに貸してもらいました。 洗濯機は英語表記を選んで使う事ができます。 スイッチを入れる前に、洗剤を洗剤受けに投入。 洗剤を二カ所に入れます。なんで二カ所なんだろ?と思ったら、Pre washとMain washで二回洗うらしい。 さらに「ソストナー(柔軟剤)もここに入れるんだよ」と洗剤受けの一番外側を指す。 私は普段使わないので、「柔軟剤はいらないな」と言うと「なんで!?柔らかくなるのに。入れなよ!」とすごい驚かれたので、少し入れてみました。 洗濯機の脇のほうには手洗い用の洗濯台もあります。 カシミアなどは手洗いにして、洗濯機で脱水だけしました。 ![]() ではどうするか、というと、ランドリールームの向かいにドライルームがあるのです。 この部屋がすごい。 スイッチを入れると、大型扇風機と普通の扇風機2台がフル回転で部屋に温風を吹き出し、あっという間に洗濯物を乾かします。 ランドリールームに車輪のついたカゴがあるので、脱水の終わった洗濯ものをカゴに入れてドライルームへ持って行く。便利! ドライルームはワイヤーが何本も張ってあり、そこに干します。 部屋の後ろにはテーブルもあるので、平干しのものはそこに。 予約時間の終了30分前くらいに行って乾いた洗濯物を袋に入れて持って帰る。 本当にあっという間に乾くし、思った以上に柔らかくふんわり仕上がります。(柔軟剤のおかげかな…) ランドリールームのドアに張り紙があり「次に使う人の事を考えて使いましょう」と書かれています。 ランドリールームを去る時は、来た時と同じ状態で帰る事。と奥さんにきつく言われました。 共同の場所なので、こういう意識は大切。 |
![]() 小さいお店ながらGodis(駄菓子)やアイス、野菜、くだもの、乳製品、冷凍食品などの食料品から生活用品まで一通りそろう店。 土日も営業していて、珍しく夜遅くまで開いているので本当に便利。 スーパーが駅を挟んだ反対側なので、牛乳ひとつやバナナ少し買いたいときはスーパーでなくここで買ってました。 こういうお店、私が子供の頃にはたくさんあったけど最近は見ないな。とっても懐かしい感じがします。 店の前の椅子にはたいてい近所のおじさん達が座ってます。 犬の散歩の途中にここで休憩している人もいる。 夕方になると、調子に乗った若者や10代の子がたまってたりします。 |
ホストの夫くんが入院![]() 昨日までは普通に生活してたのに、いきなり?とびっくり。 どうやら最近調子が悪く、調べてみたら「糖尿病なんじゃ?」と思い、上階に住む糖尿病のおじいさんに相談して血糖値を計ったところ、 「血糖値が高すぎる。今すぐ病院へ行け」と言われたそう。 ふたりで病院へ行ったところ、そのまま入院。 5日くらい入院してたかな。 奥さんも朝から晩までつきっきりで病院にいたので、その間私は一人暮らし状態。 夜に奥さんが帰ってくるので状況を聞いたところ、血糖値がなかなか下がらず、夫君もかなり不安で参っているそう。 そんな夫君の気を紛らわせるために、iPodで音楽を聞いたり話をしたりしているらしい。 ただ、病院食が少ないうえにおいしくないため、常にお腹を空かせていてすっごくかわいそうだけど、何も食べ物をあげる事ができないの! と、奥さんが言っていたのですが、二人とも食いしん坊なのでこの部分が一番辛そうだった。 次第に血糖値も下がりめでたく退院となったのですが、かなり厳しい食事制限をすることに。 夫君、とても痩せていて会社帰りにホッケーしてきたり夕食後にプールに行っちゃうくらい運動好き。 生活習慣で糖尿病になったのではなく、遺伝なんだそう。ただ、引き金になったのは食習慣らしい。 夫君、1リットルの牛乳を2〜3日で飲み干す。炭酸飲料大好き。Godis(グミやチョコなどの駄菓子)大好き。 夕食後、アイスとポテチをお供に映画やテレビを見るのが習慣。 退院したら、全部できません。かわいそうすぎる!! とりあえず、見えてたら欲しくなるから隠した方がいいね、と話してました。 ![]() 私も欲しいものがあったのでついていきました。 奥さんと夫君は成分を見ながら、考えながら買い物をするので私は別行動で買い物。 時々、ふと見ると夫君が子供のようにじっとお菓子を見つめていたりしてせつない。 どんどん調子に乗ってきて、ナッツコーナーで「これならいいんじゃないか?」と手にとっていたり「このペプシ、シュガーフリーだ!」とカゴに入れたり 子供のようにはしゃぎ始める夫君。 意外とシュガーフリーってあるもんだね!とちょっと明るい雰囲気になってきたところでレジに向かう途中、いつもの習慣でアイスクリームコーナーで つい立ち止まってしまい、私と奥さんから「もういいだろ!」とツッコミ。 レジ前のキャンディコーナーでも「シュガーフリーないかな」と最後のあがきで真剣に探している。 病院食がよっぽどひどかったんだね…!と同情するものの、子供か!と心でツッコミ。 まさか私の滞在中にこんなことが起こるなんて本当にびっくり。 人生いつ何が起こるかわからないですね。悔いのないように! ※写真はコーラ、牛乳と入れ替えで冷蔵庫に来た乳糖なし液体バター(左)と豆乳(右)。 |
その後、夫君の退院後はじめて3人で一緒に食事をしているとき、夫君が私に「君はラッキーだったね」と言う。 なんで?と聞くと「スウェーデンの日常の食事からスウェーデンの糖尿病の食事への変化を見る事ができたんだからさ」と 自虐的なことを…。 でもつい笑っちゃったよ。 |
上階に住むおじいさん、ベン![]() ホスト宅の上階に住むおじいさん、ベン。 恰幅の良いお腹でのそのそ歩いています。 私が初めて会ったのは、夫君が入院した日の夜。 その日の学校が終わる頃に奥さんから「病院に行く」旨のメールが来た。 家に帰って勉強していたら、ドアベルが鳴った。迷ったけど、電気がついているのに出ないと奥さん達の印象が悪くなると思い、出てみた。 覗き穴から見ると、てっぷりした白髪のおじいさんがのそっと立っている。 セールスには見えなかったので(いるのか?)近所の人かな?と開けると、向こうは私が出たのが予想外だったらしく驚いている。 上の階に住んでいる者ですが、奥さんか夫君はいる?と聞かれたので今は奥さんも夫君も病院に行った旨を伝えると、じゃぁまたあとで、と帰って行った。 翌日、奥さんが入院支度のため一旦帰ってきたときにまたベンが来た。 私は部屋にいたけど声が聞こえたので、少しして部屋を出たらちょうど「昨日尋ねたとき出た女性は誰?」という話をしていたので、 あ、どうも、と挨拶してみた。 なかに入ってもらって、キッチンで3人で話をしたんだけど、ベンは若い頃世界中を回っていて、日本にもいた事があるという。 神戸で医者として滞在していたが、女性を妊娠させてしまい、日本に息子がいる、らしい…。 他にも「自分はスパイだった」「脱腸をしたが自分で腹を切って手術をして治した」などなど、数々奇談を繰り広げるベン。 確かに、神戸の地形(港と山がある街)や政治についてとても詳しい。 おしゃべり好きで不思議なおじいちゃん、という印象。 ほぼスウェーデン語で会話をしているためほとんど内容がわからなかったので、ベンが帰ったあと、奥さんに 「結局、ベンはなんで日本にいたんだろ?本当は何の仕事してたんですかね?」と聞いたら「さぁ…よくわかんなかった。」と苦笑。 奥さんもわからなかったんですか!と言うと、「うん…でもいいんだよ。ベンは特別だから。He is special.」と謎な台詞を…。 なんで「Special」のとこを小声で言うんですか?とはなんか聞けなかったので、どう特別なのかわからない。 ベン、謎な人…。 |
ホストの奥さんはマレーシア人で、仕事でマレーシアに来ていたスウェーデン人の夫君と出会い、一年の遠距離恋愛の末、結婚。 スウェーデンに住んで3年になるそうです。 もちろんスウェーデン語はぺらぺら。英語もぺらぺらなので、私とのやりとりは英語。 仕事はパートタイムで翻訳の仕事をしていて、時々オフィスへ出向くそう。でも週に1、2回なので夫君いわく「専業主婦とと変わらない」。 そのため、Airbnbの管理やゲストの対応は全て奥さんが担当。 スウェーデンの生活習慣や言葉がよくわからない私に、根気よく丁寧にいろいろと教えてくれました。 家に帰ればたいていいるので、お昼ご飯を一緒に食べたり、宿題を教えてもらったりして助かったし、 将来の話など結構まじめな話もしてとても楽しかった。 時間もあるので、Fikaやお店に連れて行ってくれたり、とても親切にしてくれました。 単純に見た目がアジア人のせいか、不思議と前から友達だったような感じで違和感なく接することができました。 ![]() 特に精神面でのサポートが大きかった。 学校でみんなそれぞれ仲良くなっていくなか、英語の下手な私だけ輪に入れていない感じがしました。 それに、他の生徒達は夫や彼氏がいたり大学生活があったり、他の人と関わって生活しているのですが、私はひとり。 授業で昨日の出来事をスウェーデン語で説明するときとか、みんな「彼とモールへ行った」「家族とディナー」「夫とテレビを見てくつろいだ」など言うのですが 私はいつもひとり。 観光客だから今までは当たり前の事だったけど、さすがに一ヶ月にもなると寂しくなります。 その寂しさをほとんど感じずに過ごせたのはホストのおかげ。 学校の授業で「誰と一緒に住んでいるか」を答える質問があったとき、私はホスト宅をホテルの代わりの宿泊場所として考えていたので、 つい「ひとりで住んでいます」と答えたのですが、先生に「ひとりで?違いますね、スウェーデンの家族と住んでいるんでしょう?」と訂正されました。 そのときに、あ、そうか、私はひとりじゃなかった。と気づいて少し照れくさくなりました。 それからは、何だか心強いというか、自信を持って過ごすことができました。 ホスト宅に宿泊していなかったら孤独感を抱いたまま一ヶ月を過ごし、今回の旅行はちょっと苦い思い出が混じっていたと思います。 滞在中、何かと気遣ってくれた奥さんと夫君には本当に心から感謝しています。 |